大阪サニタリーと積水化学工業は8日、再生医療の産業化に貢献する、マイクロキャリアを用いた間葉系間質細胞(MSC)の大量培養に関する技術の共同検証を開始すると発表した。
MSCは、骨髄や脂肪組織から得られる細胞で、高い増殖能とともに神経や骨など様々な細胞に分化する分化能を有している。現在、MSCの大量培養には二次元の多層容器が用いられることが多いが、操作の煩雑さやスケールアップの技術的限界から、マイクロキャリアを活用した大量培養技術の確立が望まれている。
大阪サニタリーは、創業以来培ってきた装置技術を生かして、振盪攪拌により剪断力を低減した細胞培養装置「Ai-genmix」を販売しており、積水化学グループの積水成型工業と共同で、最大容量を500mlから3Lにスケールアップした大容量モデルを開発している。今回、大量培養技術の確立にあたっては、積水成型の3Dシングルユース滅菌バッグ「ステリテナープラスの活用を検討している。
積水化学は、これまで培ってきた材料技術を通して、多能性幹細胞の培養等を安定的に実現する化学合成足場材「Ceglu」を開発、発売している。さらに、精緻な微粒子製造技術とCegluを組み合わせた、新しいコンセプトのマイクロキャリアを開発している。品質にばらつきのない化学合成足場材を均一にコーティングしたマイクロキャリアの活用によって、従来よりも安定的な大量培養が可能になっている。
これらの技術を持ち寄ることにより、両社の得意分野における知見と技術を生かし、マイクロキャリアを用いて安定的にMSCを大量培養するプロセスの確立に取り組み、検証していく。得られた成果を迅速に再生医療に関する研究機関へ還元し、再生医療の産業化の実現を目指していく。
「医療機器・化粧品」の記事に関するご意見・お問合せは下記へ。
担当者:河辺
E-mail:kawabe_s@yakuji.co.jp
TEL:03-3866-8499