
PHC製の自動培養装置LiCellGrow

積水化学製の開発品
PHCと積水化学工業は、PHCが開発・販売する自動培養装置「LiCellGrow」と、積水化学が製造・販売展開する化学合成足場材「Ceglu」をコーティングした開発中のマイクロキャリア(同開発品)を組み合わせ、間葉系間質細胞(MSC)の大量培養プロセス構築に向けた共同検証を進めているが、10月6日に、そのスケールアップ培養において良好な結果が得られたと報告した。
再生医療・細胞医療の実用化や普及に向けては、細胞を安定的かつ効率的に大量培養できる製造プロセスの構築が重要な課題となっている。
PHCは、In-Lineセンサーによる培地中のグルコースおよび乳酸濃度の連続測定により、培養中の細胞の代謝変化をリアルタイムに可視化すると共に、その結果に基づいて自動で培地交換を行う自動培養装置「LiCellGrow」を開発・販売している。
同装置は、30年にわたる血糖センサーの開発で培った電気化学式測定技術を基盤とするIn-Lineモニタリング技術と、培養環境の精緻な制御技術を搭載し、最適な培養条件の維持を可能にしている。
一方、積水化学は、人工多能性幹細胞(iPSC)や間葉系間質細胞(MSC)などの接着培養に用いる化学合成足場材「Ceglu」を製造・販売しているが、微粒子製造技術とCegluの開発で培った材料設計技術を融合し、iPSCやMSCの大量培養への適用を目指した新たなマイクロキャリアを開発している。
同開発品は、iPSCやMSCのような、せん断応力に弱い細胞をターゲットとし、マイクロキャリアを常時撹拌せず、培養液の流動や穏やかな混合を組み合わせて培養できる粒子設計と培養コンセプトを特長としている。
両社は、それぞれが有する材料技術と培養・モニタリング技術を組み合わせることで、同開発品を用いたMSC大量培養プロセスの構築を目指し、共同検証を進めてきた。
今回の共同検証では、LiCellGrowおよび同開発品を用いて、従来よりも大きな培養スケールでのMSC培養を実施した。その結果、従来の小スケールで得られていた良好なMSC増殖およびMSC品質を維持したまま、培地量1Lへのスケールアップが可能であることを確認した。これによって、この手法が実際の細胞製造への展開につながる培養プロセスとなることが期待される。
さらに現在、LiCellGrowによる培養中の代謝状態のモニタリングや培養制御についても評価を進めており、詳細な培養結果や培養制御に関する技術内容については、2027年3月18~20日に京都市の国立京都国際会館で開催される「第26回日本再生医療学会総会」で発表する予定にしている。
PHCは、LiCellGrowを活用した様々な細胞種の培養プロセス開発を推進すると共に、CAR-T細胞療法などの細胞・遺伝子治療において、基礎研究から商用製造までのシームレスなスケールアップに対応するソリューションの拡充を進めている。これらの取り組みを通じ、細胞医薬品の品質向上、コスト低減、開発期間短縮などの課題解決を支援し、細胞・遺伝子治療の普及に取り組んでいく。
積水化学は、同開発品について、様々な顧客や連携企業とのパートナーシップを通じて、各種の培養装置・培養システムへの適用を進め、MSCやiPSCなどの細胞種や培養スケールに応じた再生医療向け細胞培養ソリューションへの展開を目指していく。
また両社は、今回の共同検証で得られた知見を活用すると共に、両社が有する技術や知見を生かし、研究・製造現場における導入検討や評価を支援することで、LiCellGrowおよび同開発品を用いた大量培養プロセスの実用化を促進し、再生医療・細胞医療の産業化に貢献していく。
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