2026年度は下半期に入ったが、10月1日からは値上げラッシュとなった。帝国データバンクによると、10月に値上げする飲食料品は3000品目を超え、9月の約5000品目に次ぐ多さになり、年間の予定では2年連続の2万品目超えが確実視されている。
また、9月で「電気・ガス料金負担軽減支援事業」が終了することにより、特に電気代が大幅にアップすることが懸念されている。普段の生活や仕事に不可欠なライフライン、インフラ領域の値上げは厳しいものがある。
10月1日からは新たな施策として、労働施策総合推進法の改正により事業主にカスタマーハラスメント(以下カスハラ)防止のための措置実施が義務化された。厚生労働省はカスハラについて、「職場での顧客等の言動で、雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されるもの」(電話やSNS等のインターネット上で行われるものを含む)と定義している。
また、社会通念上許容範囲を超える例として、言動の内容では、要求に理由がない、商品・サービス等と全く関係ない要求、対応が著しく困難か不可能な要求、不当な損害賠償要求などを、手段や態様では暴行・傷害等の身体的な攻撃から、脅迫・中傷・名誉毀損・侮辱・暴言・土下座強要等の精神的攻撃、威圧的、継続的・執拗、拘束的言動を示している。
今回、事業主に義務化された措置は、▽事業主の方針等の明確化とその周知・啓発▽相談体制の整備▽事後の迅速で適切な対応▽対応実効性を確保するために必要なカスハラ抑止のための措置▽その他併せて講ずべき措置――の5項目である。特に、カスハラに毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化して労働者に周知・啓発すること、対処方針を事前に規定して労働者に周知し、当該対処を実施できる体制整備を重点に挙げている。
医療や介護の従事者は、患者、要介護者への支援を仕事にしているが、当の支援すべき対象者からハラスメントを受けて、自身が精神的苦痛で健康を害しては本末転倒だ。
事業主としては、当該対策を施さないとブラック企業としての烙印を押されかねない。そうなると人手不足が叫ばれる中で、今後の人材採用もままならない状況に陥る危険が出てくることを念頭に置いておく必要がある。
日本薬剤師会は昨年、カスハラ防止啓発ポスターを作成するなど、顧客等と接する職業の各団体・各企業は、義務化施行を前に、既にカスハラ対策に取り組んできている。国民の命・健康をはじめとした生活全般を支援する使命を担う従事者たちを、理不尽なハラスメントから守るのは、まさに事業主の義務である。是非とも義務化された措置の完全なる遂行を願う。
























