TXP Medical株式会社は4日、日本のリアルワールドデータ(RWD)とリアルワールドエビデンス(RWE)の活用状況を分析した英語版ホワイトペーパー「The State of Japanese Real-World Evidence」を公開した。目的に応じてレセプト・DPCデータと電子カルテ(EMR)由来データを使い分けることが重要だとデータの活用状況を交えながら解説している。
レセプト・DPCデータ(以下「レセプト系」)は、患者数や市場規模、処方・治療の流れ、医療資源の利用状況を大規模に把握することに適している。一方、EMR由来データは、重症度、検査値、バイオマーカー、病理所見、治療選択の理由、治療反応など、レセプト系では捉えにくい臨床情報を補う。白書は、レセプト系で全体像や規模を把握し、EMRで背景や臨床的意味を解釈する組み合わせを重視した。
日本の医療データ二次利用市場は、2025年の約350億円から2035年には約850億円へ拡大すると予測している。EMR由来データ市場は約39億円から約250億円となり、市場全体に占める割合も11%から29%へ高まる見通し。レセプト系は引き続き最大市場であるが、EMR由来データの成長率が上回るとしている。予測は民間調査会社による推計を参照したもので、方向性を示すものと位置付けた。
EMR活用の課題には、日本語の自由記載に含まれる重症度や治療理由の構造化・検証、事業者ごとに異なる参加施設やデータ形式、臨床情報の深さ、二次利用の運用のばらつきを挙げた。複数医療機関のデータを標準化し、比較可能な研究用データセットを作る必要があるとしている。
活用場面として、患者ジャーニー(患者が病気を認知し、医療機関で診断・治療を進めていくプロセス)と治療パターンの把握、アンメットニーズや診療ギャップの特定、市販後の有効性・安全性・効果持続性の評価、前向き・ハイブリッド研究の支援を示した。患者単位のEMR由来データは、詳細な選択・除外基準を反映した治験実施可能性の評価や候補施設の選定にも使える。ただし、匿名化データによる患者数の推計だけでは治験に組み入れられず、医療機関で患者を特定し、適格性を確認する別の運用体制が要るという。
承認審査でRWDまたはRWEを用いた案件は、2019年の116件中21件(18・1%)から2024年には125件中38件(30・4%)へ増えた。白書は、RWDが無作為化比較試験を恒常的に代替するものではないと指摘。今後は自然言語処理や大規模言語モデルの進展により、EMRの非構造化情報の研究利用が広がる可能性を示した。
TXPは、「救急・集中治療・救急隊向けの医療データシステムの開発と提供」などを行っている会社で、このホワイトペーパーは、10月1日付けで新体制となった同社のオウンドメディア「Medical Data Lab」が発信するレポートの第一弾という位置づけ。今回は主に製薬のメディカルアフェアーズ部門をターゲットにまとめた。
白書は英語で全24ページ。同社のウェブサイトで公開している。
《白書のダウンロードページ》
https://medical-dataservice.txpmedical.jp/document
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