【順天堂大学公衆衛生学講座×西川】スリープヘルスをテーマにカンファレンス開く

2026年11月06日 (金)
特別講演の様子

特別講演の様子

 順天堂大学公衆衛生学講座と西川株式会社は4日午後1時半から5時10分頃まで、東京・本郷の順天堂大学小川秀興記念講堂で、特別企画カンファレンス「スリープヘルスの実装と健康経営」を開いた。睡眠医学に関する特別講演に加え、産官学によるリレープレゼンテーションとパネルディスカッションが行われた。プレゼンとディスカッションでは、従業員の睡眠を個人任せにせず、健康経営の一環として可視化し、睡眠時無呼吸症候群の早期発見や生産性向上につなげる必要性があるなどの意見を共有した。

 カンファレンスでは次の9名が登壇した。開会にあたっての挨拶を行った経済産業大臣の赤澤亮正氏、ゲストとして挨拶した順天堂大学出身の体操選手の橋本太輝氏、同じく順天堂大学出身の参議院議員の鈴木大地氏、特別講演したハーバード大学医学部睡眠医学講座教授のチャールズ・A・サイスラー氏、睡眠の重要性をプレゼンしパネルディスカッションに参加した経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課長の福田光紀氏、順天堂大学公衆衛生学講座主任教授の谷川武氏、西川代表取締役会長CEOの西川八一行氏、パネルディスカッション座長を務めた赤坂おだやかクリニック名誉院長の成井浩司氏、そして最後にビデオ出演した女性初のヒマラヤ大聖者でヨグマタの相川圭子氏(下記注参照)。

 赤澤氏は開会の挨拶を行い、この中で、自身が「重度の睡眠障害」で、睡眠時無呼吸症候群の治療に用いる医療機器CPAP(シーパップ)を装着して就寝していた経験を紹介した。骨太の方針2026にも睡眠対策などが盛り込まれているとして、社会全体で睡眠の重要性を認識する必要があると強調した。また、ディスカッション座長の成井氏を自身の睡眠に関する主治医だと紹介した。

サイスラー氏

サイスラー氏

福田氏

福田氏

 サイスラー氏は特別講演を行い、この中で、脳や身体が睡眠を必要とする理由を解説。睡眠不足によって、肥満や糖尿病、がん、心疾患などの発症リスクが高まると指摘した。

 産官学によるリレープレゼンテーションとパネルディスカッションでは福田氏、谷川氏、西川氏が登壇し発言した。福田氏は、国内の健康投資が2025年時点で約1兆円と見込まれ、政府が2040年に向けて倍増させる目標を掲げていると説明した。健康経営優良法人の認定は、大企業で3700社、中小企業で2万3000社を超えたとした。また、健康経営度調査では、睡眠の質向上に向けた取り組みを独立した項目として位置付けていると説明。睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングや検査費用の補助、睡眠リテラシーの向上、睡眠によって十分な休養を取れている従業員の割合の把握などを評価するとした。データを活用した効果的なヘルスケアサービスの社会実装と、サービスのエビデンス構築を進める考えも示した。

 谷川氏は、短時間睡眠や睡眠時無呼吸症候群が健康と勤務中のパフォーマンスに及ぼす悪影響を説明した。約300人の行動を詳細に調べた研究では、睡眠時間が6時間未満の場合、就労時間がそれほど長くなくても、高ストレスや抑うつ状態にある人が有意に多かったという。また、日本人の地域住民約4000人を4年間追跡した研究では、睡眠時無呼吸が中等度の人の糖尿病発症リスクは1.26倍、重度以上では1.69倍だったと紹介。睡眠時無呼吸という危険因子がなければ、集団全体の糖尿病発症を11.5%抑えられる可能性があると説明した。

 さらに、谷川氏は、睡眠時無呼吸症候群が重度でも、自覚的な眠気がない人が多いことを問題点に挙げた。パルスオキシメーターや簡易検査、反応速度を測定する検査などを活用し、睡眠状態や日中のパフォーマンスを客観的に可視化する必要があると主張した。

谷川氏

谷川氏

西川氏

西川氏

成井氏

成井氏

 西川氏は、企業が睡眠改善を進めるには、経営者と従業員の共通理解が必要だと述べた。自社の健康経営支援では、従業員向けの講習、アプリによる睡眠測定、個人へのフィードバック、部署ごとの課題把握を組み合わせていると紹介した。必要に応じて、産業医や企業内診療所、睡眠相談窓口につなげる仕組みも設けているという。

 パネルディスカッションでは、座長からも経営トップが睡眠対策の必要性を発信する必要があるとの意見もあった。また、従業員の睡眠満足度や生産性、健康指標を継続的に評価することが重要だとの認識を共有した。谷川氏は、「寝ずに頑張ることを美徳とする社会」から転換し、職場、医療、社会が睡眠を支える文化をつくる必要があると訴えた。

 注:相川氏の公式サイトから引用すると、「ヨグマタ」と「大聖者」については次のとおり。なお、「サマディ」とは「究極の悟り」とある。

 「公開サマディの達成により、1991年にインド政府、および瞑想・ヨガの世界的な機関であるWorld Development Parliamentより「ヨグマタ」の尊称(ヨガの母・宇宙の母の意)を授与され、史上初の外国人、また女性として、真の悟りのマスター(大聖者)として認められる。」


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