佐藤製薬は25日から、医療用成分トロキシピドを配合した、スイッチOTC胃腸薬「イノセアバランス」(第1類医薬品)を新発売する。トロキシピドは、胃粘膜再生促進作用と胃粘膜障害抑制作用の両面を併せ持つ安全性の高い成分で、現在も杏林製薬が医療用胃炎・胃潰瘍治療剤(アプレース)として販売している。トロキシピドのOTC医薬品化は今回が初めてで、同社では『胃粘膜の働きを整え、胃の状態を正常に近づける』という、既存のH2ブロッカー胃腸薬と異なる作用機序を前面に、棲み分けを図っていく考え。発売1年後の売上目標は、出荷ベースで3億円を見込んでいる。
佐藤製薬の胃腸薬カテゴリーは、「イノセア」「ハイウルソ」の両ブランドを中心に展開している。第1類の胃腸薬は「イノセアワンブロック」「アルサメック錠」(いずれもH2ブロッカー成分の配合)があり、今回の新製品で3品目となる。胃腸薬以外も含めた同社の第1類OTC医薬品としては6品目となる。
スイッチOTC成分のトロキシピドは、杏林製薬が医療用胃炎・胃潰瘍治療剤「アプレース(錠・細粒)」として販売しており、胃粘膜の血流を促進させ、胃粘液を増加させることで、胃粘膜の防御機能を高める。また、ATP(アデノシン三リン酸)の合成を増やし、組織の代謝を活性化させ、傷ついた胃粘膜を修復する作用に優れている。2007年3月にスイッチ化を申請し、今年1月に承認を得た。
新製品の「イノセアバランス」は、胃粘膜を保護する「防御因子増強成分」として、トロキシピド、アズレンスルホン酸ナトリウムを配合。さらに、「攻撃因子抑制成分」として、3種の制酸成分(炭酸水素ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム)とロートエキスを配合するなど、胃の状態を正常に近づける処方で、様々な胃のつらい症状に優れた効果を発揮する。
臨床試験結果について、同社では「有効性の評価を行った165例のうち、軽度改善以上の改善率が98・2%(著明改善50・3%、中等度改善35・8%、軽度改善12・1%)だったほか、安全性の評価を行った173例のうち、169例に副作用がない(97・7%)など、特に継続服用される方にとって、有効性・安全性の高さが大きな特徴。胃腸薬市場の活性化と共に、生活者ニーズに幅広く応えていける製品と思う」(川庄尚執行役員学術部部長)としている。
報告された副作用4件も、いずれも症状は軽度で、処置することなく継続投与し、服薬終了後には症状が消失したという。
スーッとする清涼感のある細粒タイプの胃腸薬で、服用しやすいスティック包装を採用した。成人(15歳以上)1回1包を1日3回、食前または食間(空腹時)に服用する。税込み希望小売価格は、12包1050円、24包1880円。
佐藤製薬の胃腸薬「イノセア」シリーズは、錠剤・カプセル剤・顆粒・チュアブル錠・内服液と、五つの剤形がラインナップされており、「イノセアバランス」が新たに加わることで、さらに症状に応じた適切な製品が選択できる充実したシリーズとなった。同社では、第1類医薬品として、店舗での情報提供のためのツールや、薬剤師向け説明会の実施など、適正使用のための支援を充実させていく。
さらに、発売に合わせて「イノセアバランス」の専用Webサイトも開設した(www.sato-seiyaku.co.jp/inosea-balance)。今後は製品情報など、生活者に向けた情報提供を積極的に行っていくほか、店頭展開と連動した各種メディアによる広告展開も実施する予定という。