公益社団法人日本整形外科学会(河野博隆理事長、東京都文京区本郷2丁目)は20日、東京・八重洲のベルサール八重洲とオンラインのハイブリッドで、100年プロジェクト記者発表会を行った。
日本整形外科学会は、2026年に創立100周年を、2027年には学術総会100回を迎える。同学会ではすでに2022年から「運動器の健康を通じて人々の人生と社会の未来を支えることを目的に」100年プロジェクトを開始しているが、2026年の新たな取り組みとして、ロコモティブシンドロームをはじめとする運動器の課題について知る・気づく・行動する機会を提供する全国一斉市民公開講座の開催と、旅行ガイドブック『地球の歩き方』とコラボした「日本の歩き方powered by日本整形外科学会」(小冊子)の公開などを予定している。また、100周年にあたってのビジョン(医療のチカラで「運動器」を支え、すべての人に自分で動ける生涯を)とロゴも作っている。

河野氏
発表会は、河野理事長(帝京大学整形外科学講座主任教授)の100年プロジェクトの概要説明と講演という形で行われた。河野理事長は、「100年プロジェクトは、学会創立100年を祝して、会の活動を活発化しようというもの。まず国内で研究教育を推進し、少し不足がちな整形外科医のリクルートに結びつけようと思っている。そして、外国に向けては50年ぶりに整形外科の国際学会SICOTを招致し、9月に東京大学の田中栄先生を会長に開催する」と、また、2026年の新たな取り組みについて「11月に全国一斉市民公開講座を、全都道府県で100ヶ所以上で開催する。また、地球の歩き方とで提携して日本の歩き方powered by日本整形外科学会という小冊子を作る。皆さんで歩くことを考えるきっかけになればと思っている」と語った。そして最後に「もはや人工関節は短期間の移動能力を取り戻す手段ではない。我々は直すことを考えるだけの医療ではなくて、支える医療に繋げていきたいと思っている。2500年前に、ヒポクラテスはこういう言葉を残している――歩くことは人間にとって最良の薬である」と締めくくった。
講演は、「『自分で動ける生涯』を支える、骨と関節の“知られていない3つの新常識”―日常からスポーツまで、整形外科医療の進化―」をメインテーマに次の3題行われた――(1)黒田良祐・神戸大学大学院医学研究科外科系講座整形外科学教授:アスリートを支える整形外科医療の進化~日本発の技術が実現するスポーツ人生の延伸~、(2)中島康晴・日本整形外科学会100年プロジェクトリーダー/九州大学整形外科学教室教授:“人工関節は最終手段”の時代は終わり~最新の人工股関節・人工膝関節手術でアンメットニーズ解決へ~、(3)斎藤充・日本整形外科学会副理事長/東京慈恵会医科大学整形外科学講座主任教授:骨粗鬆症は不治の病?男女ともに潜むリスクと適切な対策とは~2025ガイドラインが示す最新エビデンス~。

黒田氏
黒田氏は、関節鏡(Arthroscope)の開発と普及が整形外科手術、特に低侵襲手術の分野に革命的な進歩をもたらした、また、かつては「一度損傷すると再生しない」とされていた関節軟骨を修復・再生させる治療が実用化されているなどと講演の中で語った。
中島氏は、人工関節は60歳を超えてからどうしようもない場合に行うと教育されてきたが、架橋ポリエチレンというゲームチェンジャーが開発され、磨耗という問題はかなり克服されつつあり、患者さんに対して20年以上先の再置換の心配をするよりも、明日の痛みを取りましょう、明日歩けるようにしましょうと自信を持って勧められるようになったなどと講演した。

中島氏

斎藤氏
斎藤氏は、骨粗鬆症について、性ホルモンの減少は一生続くという意味で男女ともに不治の病であり、死ぬ病気でもあるが、骨粗しょう症治療薬(ビスホスホネート)は骨折を予防できると薬の有効性を指摘した。一方で、骨の強度を鉄筋コンクリートにたとえて、コンクリート=カルシウム(骨密度)が正常であっても、活性酸素・酸化ストレスが鉄筋=コラーゲン(骨質)をサビさせて脆くするので、骨質の劣化を防ぐという考え方が重要であるとした。また、骨に関わる日本人特有の問題としてビタミンD不足があると指摘したが、終了時間が来たので詳細には入らなかった。
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