富士通はこのほど、大阪大学と森永乳業の3社が取り組んだ、機能性蛋白質ラクトフェリンに関する共同研究の成果を紹介した。これは、森永乳業が注力しているラクトフェリンの新たな構造状態を発見したもので、世界初の成果として注目されている。
ラクトフェリンは、母乳(特に初乳)や涙、唾液などに含まれる多機能な蛋白質で、高い安全性、抗菌・抗ウイルス作用、抗炎症作用、栄養補給など様々な優れた特性を持つことで知られている。
その機能性の高さから、食品からヘルスケア、美容まで幅広い分野での活用が期待されており、森永乳業は、長年にわたりラクトフェリンの研究開発に取り組み、育児用ミルクをはじめ、健康食品や医薬品分野での応用を探求してきている。
こうした機能性蛋白質の働きを最大限に引き出し、新たな応用を開発するためには、体内で様々な状況に応じてどのように形を変え、機能を発揮しているのかを深く理解することが不可欠となっている。
今回の共同研究で3者は、このラクトフェリンの機能が発揮される水中での刻々と変化する姿を、クライオ電子顕微鏡と生成AI技術を使って世界で初めて捉えることに成功した。
一般に蛋白質は、一つの決まった形をしているわけではない。ダンサーが曲に合わせて様々な動きを見せるように、環境や状況に応じて、その構造は絶えず変化している。このダンスのパターンを理解することが、機能解明の鍵となる。しかし、従来の解析では、この動的な姿を捉えることが極めて困難だった。多くの場合、解析されるのは証明写真のような平均的な構造状態でしかない。
今回開発したのは、ラクトフェリンが単一の静止した構造ではなく、複数の異なる構造(いわば「ダンスのポーズ」)を連続的に撮りながら存在し、それぞれの構造がどれくらいの安定性(エネルギー)を持っているかを示す「構造変化のエネルギー地図(コンフォメーションエネルギーランドスケープ)」を作成する方法。この地図を、クライオ電子顕微鏡データから直接、かつ世界で初めてマッピングできたことが、今回の画期的な成果となった。
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