
資生堂は、化粧品だけでは解決できない肌トラブルに対応する新たなOTC医薬品「IHADA(イハダ)」ブランドを立ち上げ、3月1日から資生堂薬品を通じ、全国のドラッグストア・薬局を中心とした薬系ルートで販売を開始する。第1弾の「イハダ プリスクリードD」(第2類医薬品)は、同社の化粧品技術を医薬品に応用し、これまで乳液剤形として安定配合が難しかった非ステロイド性抗炎症成分のウフェナマートを、OTC医薬品で初めてエッセンスタイプに製品化した。同社では、従来の化粧品や医薬部外品という領域とは異なる、“メディカルスキンキュア”という新発想のブランドとして、医薬品販売強化の柱にしていきたい考え。CMなどは行わず、店頭の薬剤師・登録販売者を起点としたマーケティング展開に徹する販売手法も、資生堂として初の試みとなる。
女性の美容意識の高まりについて、同社は今年1月、25~49歳の約300人の女性に調査したところ、98%が肌について複数の悩みを抱えていた。肌の悩みが気になる頻度については、85%が「週に1度以上」とし、肌の悩みへの対処法に「満足している」という女性は、32%に過ぎなかった。
こうした肌の悩みに対し、普段の手入れ法に加え、美容皮膚医療や美容機器を上手に取り入れる女性も増えている一方、肌の悩みに対して、効果の実感が得られる医薬品への期待も少なくない。そこで、高まる女性の美容意識に応えるべく誕生したのが「イハダ」で、ブランド名は“医”薬品で“肌”を美しくするというコンセプトから、医肌(イハダ)と名づけた。
新発売の「イハダ プリスクリードD」は、1g中に非ステロイド性の抗炎症成分ウフェナマートを50mg、ビタミンE誘導体のトコフェロール酢酸エステルを5mg配合し、抗炎症と血行促進の二つの医薬品有効成分が肌に浸透し、肌トラブル(皮膚炎、湿疹、かゆみ、ただれ、かぶれ等)を改善する。50mL入り、税抜き参考小売価格6800円。

14日に都内で開いた発表会で、高森竜臣取締役執行役員常務は「資生堂では1934年に、皮膚用外用薬(エクチェマル)を発売している。医薬品で美容クリームを作るという、いわば当時としては新ジャンルへの挑戦であった。現代女性のスキンケアに対する悩みを解消するため、同品の発売から77年を経て、最新の皮膚研究と資生堂ならではの乳化技術(超微細エマルション技術)を結集し、初めてエッセンスタイプのウフェナマート製剤を開発した。メディカルスキンケアの新商品を通じ、スキンケアへのさらなる満足度を高めていきたい」などと、新ブランドへの強い期待を述べた。
資生堂では今回、医薬品の専門知識を有するドラッグストア・薬局チャネルの特性を最大限に生かした、新たなニーズの掘り起こしを目指し、あえてCMは行わず、店頭起点の販売展開を行っていく。店頭起点のマーケティングの鍵となる薬剤師・登録販売者を対象に研修を行い、修了者を「メディカル・スキンキュア・コンサルタント」と認定し、「メーカー発ではない、店頭発のプロフェッショナルな活動を通して、店頭の活性化も支援していきたい」(七野公一ヘルスケア事業部長)という。