がん対策推進協議会のがん研究専門委員会は、抗癌剤の未承認薬や適応拡大試験について、欧米と同様に、治験以外の研究者主導の臨床試験であっても、ICH-GCP準拠とするよう、法整備を行う方向性を確認した。今月下旬に開催予定の親協議会に報告し、2012年度から始まる「がん対策推進基本計画」への反映を目指す。
欧米では、研究者主導臨床試験をICH-GCP準拠で行うことが一般化しているのに対し、わが国の研究者主導臨床試験は、行政指針である「臨床研究に関する倫理指針」によってのみ規制されているため、試験の質が担保されていない。
そのため、抗癌剤の未承認薬や適応拡大試験では、全ての臨床試験を治験届に準じた届け出を行った上で、ICH-GCP準拠とするよう、法整備する対応案を示した。また、既承認薬の臨床試験についても、ICH-GCP準拠を努力目標とすることとした。
会合では、癌研究の課題や対応案などを示した論点整理について意見交換し、委員間のコンセンサスを得た。
論点整理では、臨床試験を行うための制度を充実させるため、薬剤供与やデータの受け渡しなどに関する枠組みを、国と企業との間で整備することも求めている。
米国には、米国衛生研究所(NIH)が民間と共同研究契約を結び、契約を結んだ企業は共同発明によって得られた特許発明を独占的にライセンス供与されるCooperative Research and Development Agreement(CRADA)という仕組みがある。
また、生物統計家、データマネージャー、CRC、プロジェクトマネージャーなど、臨床研究を支援する専門職の育成・キャリアパスを構築することや、臨床研究への参加が業績として評価されるよう啓発する必要性も指摘している。