中東情勢が混沌とする中、世界中に多大な影響が及んでいる。日本の医療・医薬業界では、厚生労働省と経済産業省が「中東情勢に影響を受ける医薬品・医療機器・医療物資等の確保対策本部」を開催して、安定供給における課題分析と対応策を検討している。また、厚労省は医療関連団体との意見交換も行うなど、医療・医薬関連製品の安定供給対策を進めている。
国民の命を奪うのは人間同士による紛争だけではない。有史以前から病が人類の数多の命を奪ってきた。特に感染症は一気に死者数を増大させるため、これまでも絶え間なく対策を講じてきた。日本では現在、麻疹(はしか)患者の急増が危惧されている。
3月18日には日本感染症学会が、緊急注意喚起として麻疹の特性、世界・日本国内での発生状況、適切な対応策を情報提供している。特に治療に関しては、特効薬・抗ウイルス薬はなく、ワクチンによる予防が最善策だと強調して、まずは自分と家族のワクチン接種歴を確認するようメッセージを発信した。
同学会は、MRワクチン(麻疹・風疹混合)の2回接種で、ほぼ確実に予防できるとし、1回接種で約93~95%、2回接種で97~99%の予防効果があり、麻疹流行防止には、集団全体のワクチン接種率を95%以上に維持することが必要だとエビデンスを示している。
国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報提供サイトの感染症発生動向調査(IDWR)によると、2026年第15週(4月15日現在)の麻疹報告数は56例で、13週の36、14週の39から大幅に増加した。累計の麻疹報告数は全国で299例に達し、昨年の265例を上回って20年以降では最多となった。都道府県別では、東京都が週報56例中35、累計では299中108と圧倒的多数を占めている。
その都は21日、4月に新宿区の小学校で児童・教職員18人の集団感染が発生したことを公表すると共に、都民に対してワクチン接種を呼びかけた。今後も感染拡大が続くことが懸念される。
これらの事態を受けて日本ワクチン学会が17日、一般向けに病気の特徴、免疫、対策、注意を記載した文書「麻疹(はしか)が流行しています!」を公開した。麻疹の特徴については、高熱と発疹を特徴とする感染力の強い病気で、肺炎や脳炎などを引き起こして死に至ることもある決して軽視できない感染症の一つとし、免疫に関してはワクチン接種によって麻疹を予防する免疫を獲得でき、麻疹に罹りにくい、罹っても重症化しにくい体になることが期待できると説明している。その上で、1歳と就学前の2回の定期予防接種を確実に受けることが大切だと訴えた。
全ての医療関係者は、感染症の拡大を防ぎ国民の健康を守るため、専門性を持ってワクチン接種を推奨していく重大な役割を担っている。


















