2026年度診療報酬改定で病棟薬剤業務実施加算の最上位区分が新設されたことに、病院薬剤師から歓迎の声が上がっている。診療報酬全体が3.09%のプラス改定となったことを背景に、現行の週1回120点から一気に300点へと大幅に引き上げられた。
チェーン薬局を中心に「実質マイナス改定」と受け止められている調剤報酬改定とは対照的に、今回の改定は病院薬剤師にとって重要な意味を持つ。深刻化する人材不足の中、病院薬剤師確保に弾みをつける改定と位置づけたい。
今回の改定では、転院時・退院時の施設間文書連携を算定要件とする薬剤総合評価調整加算が、現行の100点から160点に引き上げられた。さらに、薬剤総合評価調整加算と退院時薬剤情報管理指導料の実績要件を満たせば病棟加算として週1回300点を全ての入院患者に対して算定できる仕組みとなった。
基幹病院から薬剤師が不足する地域病院に薬剤師を出向させた場合に算定可能な「薬剤業務向上加算」を組み合わせれば、例えば1000床規模の病院では病棟加算関連だけで年2億円を超える収入が見込まれるとの試算もある。
今回の上位区分新設は、とりわけ中小病院への恩恵が大きい。病棟加算の実績要件である「退院時薬剤情報管理指導料の算定割合が、直近3カ月の退院患者の4割以上」という条件は入退院が頻繁な大病院ではハードルが高い。一方、退院時指導料を比較的多く算定している中小病院では病棟に薬剤師を配置する体制を整えれば、一気に300点算定が可能となる。
日本病院薬剤師会の武田泰生会長も「これまでの改定は大病院と中小病院の格差を生んできた面があったが、今回は中小病院が人員を増やす方向に働く加点ではないか」と述べ、一定の評価を示した。
中央社会保険医療協議会では病院薬剤師と薬局薬剤師の業態間偏在も論点となった。薬局・ドラッグストアとの初任給格差をめぐり、診療側・支払側委員からは調剤報酬の財源を病院薬剤師確保に充てるべきとの指摘も出た。実際、今回新設された調剤ベースアップ評価料についても初任給を抑えつつ定期昇給を実施する薬局を手厚く評価する案が検討されていたという。
もっとも、多くの病院は依然として厳しい経営環境にある。病棟加算で得られた収益が必ずしも薬剤師確保の原資に回るとは限らない。病院薬剤師確保につながるよう収益を人件費に配分する仕組みの創設を求めたい。各病院薬剤部も今回の改定の意義を病院経営層に粘り強く説明し、算定の実現を目指すべきだ。
病棟加算の評価引き上げは中小病院の足腰を強化し、地域医療提供体制の安定化につながる可能性がある。同時に病院薬剤師の地位向上につなげる絶好の機会でもある。新卒薬剤師の進路選択肢の一つとして中小病院が位置づけられることを期待したい。




















