武田薬品は、アイルランドの「武田アイルランド(TIL)」と「武田アイルランド製薬(TPI)」を統合する。TPIの全資産をTILに譲渡する統合で、7月1日を予定している。アイルランドの製剤工場と原薬工場を統合することで、グローバル生産体制の強化を目指す。
TILは製剤工場として、1999年から高血圧症治療剤「ブロプレス」(一般名:カンデサルタン・シレキセチル)、糖尿病治療剤「アクトス」(一般名:ピオグリタゾン塩酸塩)、消化性潰瘍治療剤「プレバシド」(一般名:ランソプラゾール、日本製品名:タケプロン)など、欧米向けの医薬品を生産してきた。一方、TPIは2007年から海外の原薬工場として、不眠症治療剤「ロゼレム」(一般名:ラメルテオン)の原薬生産を行ってきた。今回、二つの工場を統合することで、原薬から製剤まで同一管理体制下で製造し、生産性の向上とコスト低減の実現を図る。
ポルトガルでも自社販売開始へ
武田薬品は、子会社の武田ポルトガルを通じて、ポルトガルでの自社販売を開始する。同社では欧州での事業基盤強化に向けて、4月にスペイン子会社の「武田スペイン」が自社販売活動を開始したほか、1月には英国子会社「英国武田」が、アイルランドの一部地域からイギリス全土に拡大するなど、欧州市場への進出を図ってきた。欧州では既に8カ国で自社販売網を確立しており、新たにポルトガルが加わることで、西ヨーロッパ諸国の大部分をカバーすることになる。
武田ポルトガルは昨年9月から、ポルトガルで「グラスチン」(一般名:ピオグリタゾン塩酸塩、日本製品名:アクトス)を卸を通じて製品供給してきた。今後、自社販売・マーケティング活動を数カ月以内に開始し、ポルトガルでの事業展開を本格化させる方針だ。