ジーネックスは23日、2023年12月から順天堂大学に提供しているミトコンドリア病遺伝子パネル検査用解析ソフトウェア「GENEX Detector」を、ACMG(米国臨床遺伝・ゲノム学会)が二次的所見に関して報告を推奨している遺伝子を含む他疾患に対象を拡大し、大学病院や研究機関等に向けライセンス提供を開始したと発表した。
同ソフトウェアは、同社が自社開発したオンプレミス型の解析ソフトウェアで、指定難病であるミトコンドリア病の原因遺伝子を一括で調べることができる「ミトコンドリア病遺伝子パネル検査」において、23年11月に保険適応検査として受付を開始してから、継続活用され解析実績は370件を超えている。
今回の対象疾患の拡大では、ACMG二次的所見の報告推奨対象遺伝子81個のほか、保険収載の有無にかかわらず遺伝性疾患全てを対象としている。例えば、▽遺伝学的検査が推奨されているがまだ保険収載されていない疾患(心疾患、若年性認知症など)▽発症していなければ受けられない遺伝学的検査(家族性パーキンソン病など)▽日本人頻度が高いが一般的でない疾患(家族性高コレステロール血症など)▽鑑別が困難な疾患(メチルマロン酸血症など)――が挙げられる。
遺伝性疾患とそれに関連する遺伝子・バリアントの世界的なデータベースであるOMIM(Online Mendelian Inheritance in Man)では、遺伝性疾患の病因遺伝子解明状況に関して、遺伝性疾患である可能性が高いと考えられる疾患までを含めると1万0214疾患、その中で病因遺伝子が解明されている疾患は6984疾患(約68%)と報告されている。
しかし、日本で遺伝学的検査として保険収載されているのは22年時点で191疾患で、OMIMに登録されている病因遺伝子が解明された疾患の3%程度にすぎず大きな課題とされている。
同社は、同ソフトウェアを様々な疾患別遺伝子パネル検査へ応用していくことで、遺伝学的検査で保険収載される疾患の拡大を後押しするだけでなく、ゲノムデータをもとに疾患の特定や病態の解明を目指すゲノム医療の発展、およびプレシジョン・プリベンション(精密予防)の普及を図っていく。