仮説「主要市場において医療機器の市場規模と特許の出願件数は、正の相関関係にある」が成立しているか否かについて、日本医療機器産業連合会医療機器政策調査研究所の浅岡延好氏らが検証し、先に開かれた第100回日本医療機器学会大会で報告した。それによると、日米欧韓では強い相関が認められ、仮説の正しいことが示唆されたものの、中国では出願数の多さに比べ市場規模が小さく、仮説が当てはまらなかったという。
浅岡氏らは、日米欧中韓の5カ国(4カ国+1地域)を調査対象に選んだ。理由は、これら5カ国が世界の特許出願先の8割以上であり、市場規模でも世界全体の86%を占めていることから、グローバルな検討をする上で適切と考えたとしている。
検証の結果、日米欧韓の4カ国では、医療機器の国別売上高と特許出願件数の間に、相関係数0.984の非常に強い正の相関が認められ、仮説が実証されたという。浅岡氏は、規模が大きく成長も期待できる医療機器市場に対して、各国の企業が積極的に特許出願していることを示していると考察した。
それに対し中国では、例外的な結果を示したという。中国に対する特許出願件数は他国に比べ際立って多く、外国からの出願が活発なばかりでなく、自国籍出願の割合も5カ国中最多であった。一方、中国企業がどこの国に出願しているかを見ると、国内出願の割合は95%と大半を占めており、外国出願は5カ国中で最も低かった。
これら中国の例外的な特徴について浅岡氏は、出願件数が市場規模の先行指標になると仮説から推定すれば、今後の市場規模拡大を示唆したものと捉えることもできるとしながら、外国出願が極端に少ない自国偏重の状況もあるので、この調査だけでは予断はできないと述べた。
来年は6月4日から幕張メッセで
来年の第101回日本医療機器学会大会は、6月4日から6日までの3日間、千葉市美浜区の幕張メッセで開催される。テーマは「医療機器学サイコウ-再考・再興・最高」であり、本田宏志氏(ニチオン代表取締役社長)が大会長を務める。
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