Almac(アルマック)は、北アイルランドに本社を持ち、治験薬の製造、管理、供給、廃棄まで一貫した支援をグローバルで展開している。日本を極めて重要な市場の一つと位置づけ、国内で25年以上にわたり事業を展開。東京にある日本オフィスには、ビジネス開発、プロジェクトサービス、サプライチェーン管理を担う専任のサポートチームが常駐し、日本語で、日本時間に、日本からAPAC、EU、米国における治験薬供給を一元的に管理できる体制を整えている。同社の理念は「Supply with Care – Almacは心を込めてお届けします」――顧客のサプライチェーンを最適化しながら、品質や安全性、治験のスケジュール、コスト、そして「被験者様を中心とした取り組み」を最重視して取り組む姿勢を表す。
承認新薬の半数以上に関与
Almacグループは1968年に故アレン・マクレイ卿により「世界の医療に本当に意味のある貢献ができる企業を作りたい」という想いから設立されたマクレイ財団が100%所有するCDMOだ。
バイオマーカーの発見・開発、原薬の製造、製剤開発、分析テスト、治験薬包装・供給、IRT(治験薬の割付などの管理システム)の提供、商業規模での製造まで、一貫したサービスを提供した実績を持つ。欧米亜の18の拠点で、7500人以上が従事する。
世界トップクラスの製薬企業と数多くの取引があり、ここ6年で承認された新薬のうち半数以上に関与しているという。
グループが展開する様々なサービスの中でも、「クリニカルサービス」部門では、初期段階のフェーズ1試験から、複雑なメガトライアルに至るまでの治験薬の製造から試験終了時の廃棄までを「ワンストップサービス」で提供できる。同サービスには、いくつかの柱がある。
サプライチェーンマネジメントと包装:プロトコルに基づいて被験者用キットのデザイン、包装の自動化、配送ルート、IRTの設計など、治験全体の戦略を立てて提案。治験実施施設での治験薬の在庫管理や必要な薬剤の数量も、全体を見ながら最適化する。
一次包装では、カプセル充填、ボトル詰め、ブリスター包装、ウォレット包装などを行っている。被験者数が変動する中でも正確に治験薬数量を予測して製造を計画する仕組みは大きな強みだ。
二次包装や盲検化では、従来型のバッチ製造、IRTでの出荷指示後に行うジャストインタイムでの製造、ラベリングなどを行っている。バイアル、シリンジ、ボトル、ウォレット、吸入器、パウチ、スティックパックなど、様々な剤形に対応できる。被験者用キットの包装やラベルの作成についても高い専門性を持っている。
治験薬のリリース:幅広い製品タイプや剤形に対応できる経験豊富なQP(クオリファイド・パーソン)が在籍しており、治験薬のリリースに必要な手続きについて、専門チームがしっかりサポートする。また顧客の製造施設、検査、包装、ラベリング施設に対するQP監査もグローバルで実施。リリース手順はMHRA(英国医薬品規制庁)の査察で確認・承認された実績がある。
治験薬のグローバル配送:110カ国以上への出荷実績がある。特に近年はAPACでの対応力を一層強化している。様々な温度帯に対応できる温度管理体制と必要な専門知識を備えている。治験実施施設への配送はもちろん、被験者の自宅への直接配送や、各国・リージョンデポを経由した配送など、ニーズに応じて対応する。
輸送監視には最先端技術を導入している。輸送箱「Pod」や温度計「iTag Bio4」、温度管理ツール「TempEZ」などを活用し、治験薬が常に適切な状態で届けられる。精度の高い管理体制と自負している。
日本企業の海外治験にも強み
日本を極めて重要な市場の一つと位置づける同社は、日本からAPAC、EU、米国における治験薬供給を一元的に管理できる体制を整えている。
シンガポールにあるAPAC本社では、治験薬の一次・二次包装、配送、保管、回収・廃棄、市販薬の調達、ラベル印刷など、治験薬供給に関わる幅広い機能を提供している。施設には、2室の一次包装室と、2~8℃に対応した3室の二次包装室があり、15~25℃で最大120パレットを保管できる倉庫に加え、2~8℃やマイナス15~25℃の保管シェルフ、さらにはマイナス60~マイナス80℃、マイナス70~マイナス90℃の超低温冷凍庫も複数設置されている。1日3交代制の製造体制と柔軟な計画運用により、急な需要増にも迅速に対応できる。柔軟性とスピード感を兼ね備えた体制で、日本の顧客の多様なニーズに応える。

中村氏
日本では過去2年間だけでも、日本国内の治験実施施設に2万件余りの出荷を行い、89社351の治験をサポートした。治験薬保管・配送に対応するパートナーデポによるデポサービスも提供している。
最近では、日本の企業が韓国で実施した治験に対し、包装・ラベリング・配送までを一貫してサポートした。グローバルCDMOと日本企業が共同で取り組んだ初の事例だったという。日本企業が初めて欧州で治験をする際の支援も複数の実績がある。
またバイオ医薬品、再生医療等製品、細胞医療が増えることを見込み、APAC本社に320万シンガポールドルを投じ、新たな冷凍施設を開設した。マイナス15~25℃に対応した最新の冷凍庫を導入し、施設面積を従来の4倍に拡大。
冷凍環境下での二次製造室も新設され、治験薬の二次包装や温度管理下での配送、ロジスティクスサービスの提供範囲も広がっている。
同社APACビジネスディベロップメントディレクターの中村麻衣子氏は、「私たちは、“治験薬供給のプロフェッショナル”として、より良いサービスの提供を何よりも大切にしている。チームの一人ひとりが、責任をしっかりと自覚しながら治験薬のサプライチェーン全体を支えている。治験ごとのプロトコルやプログラムを確実に実現するため、日本のお客様と一緒に取り組んでいく姿勢を大切にしていく。どんなに難しい課題であっても、私たちは必ず最適な解決策を見つけ出す」とメッセージを送る。
https://almacgroup.jp/clinical-services/