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米食品医薬品局(FDA)は11月5日、成人の大うつ病性障害(MDD)に対する抗うつ薬との補助療法として、ジョンソン・エンド・ジョンソン社のカプリタ(一般名ルマテペロン)を承認した。
カプリタは、成人の双極症I型およびII型に対する併用療法および単剤療法として初めて、かつ唯一FDAで承認された薬剤で、今回の承認で適応症は4つ目となる。同薬は、成人の統合失調症治療薬としても承認されている。MDDの治療における推奨用量は、食事の有無にかかわらず1日1回42mg。
ジョンソン・エンド・ジョンソン社によると、MDDは最も一般的な精神疾患の一つであり、全世界で推定3億3200万人(人口の約4%)が罹患している。MDDは、脳の複数の領域が関与する複雑な疾患であるため、治療の効果は患者によって異なる。現在の標準治療である経口抗うつ薬では、MDD患者の3人に2人が残存症状または持続症状を経験しているとのことだ。
今回の承認は、抗うつ薬による治療(ADT)で⼗分な効果が得られなかった成⼈患者を対象とした、2件の6週間にわたるランダム化⼆重盲検プラセボ対照試験(試験501および試験502)の結果に基づいている。対象者(試験501:485人、試験502:480人)は、ADTに加え、カプリタ42mgまたはプラセボを1⽇1回経⼝投与される群にランダムに割り付けられた。主要評価項⽬は、プラセボ+ADT群と⽐較したカプリタ+ADT群における、モンゴメリー・アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)の総スコアのベースラインから6週⽬までの変化量とした。
その結果、カプリタ+ADT群では、プラセボ+ADT群と比較して、MADRS総スコアが、試験501では4.9ポイント、試験502では4.5ポイント、有意に改善した。MADRS総スコアの改善は、試験501では1週目、試験502では2週目からプラセボ+ADT群との間に差が確認された。また、副次評価項目である臨床全般印象尺度重症度指数(CGI-S)の総スコアについても、カプリタ+ADT群では、試験501で0.7ポイント、試験502で0.5ポイント、有意に改善した。
トロント大学(カナダ)のRoger S. McIntyre氏は、「うつ病は複雑な疾患であり、患者ごとに症状が異なる。このため、効果的で忍容性の高い多様な治療選択肢が喫緊に求められている。抗うつ薬を服用してもなお抑うつ症状に悩まされている患者にとって、カプリタを治療レジメンに追加することで早期の改善が期待でき、治療の最終目標である寛解に至る可能性もある」と、ジョンソン・エンド・ジョンソン社のリリースで述べている。(HealthDay News 2025年11月13日)
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https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/daf/index.cfm?event=overview.process&ApplNo=209500















