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米食品医薬品局(FDA)は9月25日、Essilor社のStellest眼鏡レンズの販売を承認した。このレンズは、6~12歳までの小児の近視(乱視の有無を問わず)の矯正だけでなく、近視進行を遅らせる効果も期待されている。
Stellest眼鏡レンズは、中央に直径9mmの透明な部分があり、その周囲をレンズレットと呼ばれる小さなリング状の突起が取り囲んでいる。このレンズレットによって周辺光の焦点がずれ、それが小児の近視進行の抑制に役立つ可能性がある。
近視は、一般的に眼の成長過程にある学齢期に進行する。今回の承認以前に米国で近視の進行抑制を目的に承認されていた機器は、8~12歳向けのコンタクトレンズだけだった。Stellest眼鏡レンズは、6~7歳の小児およびコンタクトレンズの装用が困難な小児にとって、新たな選択肢となる。また、本機器は、コンタクトレンズに比べてリスクが低く、コンタクトレンズの使用に伴う感染症などの心配もない。
米国立眼科研究所によると、複数の研究で、近視の有病率は世界的に上昇しており、この傾向は今後数十年も続くと予測されているという。近視は、米国人の約40%が罹患している慢性疾患で、特に小児や若年者の間で急速に増加している。2050年までには、世界人口の50%以上が近視になると見込まれている。近視を治療せずに放置すると、高度近視に進行する可能性があり、後年になって、網膜剥離や近視性黄斑症、緑内障、白内障など、視力を脅かす合併症のリスクが大幅に高まる。
今回の承認は、単焦点レンズと比較してStellest眼鏡レンズが近視進行を遅らせることを示した臨床試験の結果に基づいている。この試験では、24カ月時点で、球面等価屈折値に基づく近視進行が71%抑制され、眼軸長に基づく眼球の伸長が53%抑制されたことが示された。重篤な有害事象は報告されていないが、一部の参加者からは、目のかすみやハロー現象などの視覚症状が報告された。
FDA医療機器・放射線保健センター所長のMichelle Tarver氏は、「本日の承認によって、成人期における重度の視力障害の発症リスクを軽減する可能性のある治療選択肢が市場にもたらされることになった。Stellest眼鏡レンズはまた、小児の近視進行を遅らせるためにこれまでに承認されていた機器よりも使用が簡便で、リスクも低い」と、FDAのリリースで述べた。(HealthDay News 2025年10月1日)
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https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-authorizes-marketing-first-eyeglass-lenses-slow-progression-pediatric-myopia