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米食品医薬品局(FDA)は8月29日、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)や軽度認知症の治療薬であるレカネマブ(商品名レケンビ)の皮下注製剤「LEQEMBI IQLIK」を、18カ月間の静脈内(IV)投与による初期治療後に行う週1回の維持療法として承認したと発表した。
LEQEMBI IQLIKは、360mg/1.8mL(200mg/mL)の皮下注オートインジェクター(SC-AI)製剤で、約15秒で投与が完了する。今回の承認で、患者は18カ月間の隔週でのIV投与による初期治療を終えた後、4週間に1回10mg/kgのIV投与を継続するか、新たにLEQEMBI IQLIKによる週に1回の維持療法に切り替えることができる。この進歩により、より迅速で簡便な薬剤投与が可能になるとともに、将来の併用療法への道が切り開かれることが期待される。
今回の承認は、第3相CLARITY-ADコア試験の一貫であるオープンラベル延長試験(OLE)のLEQEMBI皮下注サブスタディに基づいており、安全性については、600人以上の患者を対象に評価された。その結果、18カ月間の初期治療後にLEQEMBI IQLIK投与へ切り替えても、IV投与による維持療法の場合と同等の臨床上およびバイオマーカー上の効果が維持されることが示された。
LEQEMBI IQLIKはIV投与による維持療法と同等の安全性プロファイルを示す一方で、大きな利点も確認された。まず、LEQEMBI IQLIKによる維持療法での全身反応の発現率は1%未満であり、IV投与時の約26%を大幅に下回った。さらに、週に1回の投与後に行ったMRI画像検査でのアミロイド関連画像異常の発現率は、18カ月間の初期治療後群と同等であり、また未治療患者群のベースライン時の発現率とも同程度だった。
アルツハイマー病創薬財団(ADDF)の共同創設者兼最高科学責任者であるHoward Fillit氏は、「LEQEMBI IQLIKによる維持療法への移行は、糖尿病治療薬やGLP-1受容体作動薬と同様に、患者にとってレケンビをより利用しやすくするための重要なステップであり、また、患者がIV投与を完全に回避できる日への第一歩となる」と同財団のリリースで述べた。
さらにHoward Fillit氏は、「この画期的な成果は、アルツハイマー病の治療を受ける際に遭遇する困難を減らすことで患者と介護者の負担を軽減する。それと同時に、患者が複数の薬剤をより簡単に、場合によっては自宅で投与できる日が近づくことを意味する」と付け加えた。
なお、LEQEMBI IQLIKの承認はEisai社とBiogen社に付与された。(HealthDay News 2025年9月2日)
More Information
https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/daf/index.cfm?event=overview.process&ApplNo=761375
https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2025/761375s000lbl.pdf