先日、開催された日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)主催のJAPANドラッグストアショーのメインテーマにも盛り込まれたように、最近のドラッグストア業界では「NEXT25」がキーワードの一つとして取り上げられている。
JACDSが昨年、設立25周年を迎え、ドラッグストアショーが今回、25回目を数えるなどする中で、次の25年を見据えてドラッグストア業界の未来をどのように展開していくかに注目が集まっている。
現在のドラッグストア業界を見ると、順調に店舗数を拡大させるなど成長を続けていると言えるだろう。JACDSが今年発表したドラッグストア実態調査(2024年度版)でも、全国総店舗数は前年度調査よりも682店舗増えて2万3723店舗にまで到達した。
規模別では150坪超とする、いわゆる大型店舗の増加傾向が顕著で、比率でも全体の7割近くに及ぶ。特に300坪以上の店舗は4年連続で300店舗以上の増加が継続している状況である。
このような旺盛な出店攻勢と並んで、ドラッグストア業界の成長を牽引している要因の一つとして挙げられるのが調剤だ。ドラッグストアにおける調剤併設の推進などにより、処方箋応需枚数の増加傾向が多く見られるなど、多くのドラッグストア企業においても調剤分野は堅調に推移し、各社の好調な業績に大きく貢献している。
全国ドラッグストア売上高(全国総売上高)に関しても順調に拡大。24年度の実態調査結果によると、前年度比9.0%増の10兆0307億円で、ついに10兆円の大台を突破した。
長く同業界やJACDSが目標に掲げてきた「25年10兆円産業化」を1年前倒しで達成するという勢いであり、約25年前(00年度)の実態調査開始時の全国総売上高と比べると、実に4倍近くにまで到達している。
10兆円産業化という目標を達成したわけだが、同業界やJACDSに立ち止まる気配は感じられない。塚本厚志会長は、10兆円の大台突破の背景には生活者の支持があることに感謝の意を示すと共に、「10兆円は通過点」との考えを強調している。「NEXT25」のキーワードでも分かるように、次の成長、次の発展を見据えて取り組みをスタートさせている。
人口が減少し、高齢化が進む日本では今後、健康・美容に関するニーズはさらに増してくることが予想される。こうした中、同業界とJACDSによる「ドラッグストアの健康生活拠点(健活ステーション)化」の推進など、「30年13兆円」に向けた取り組みも着々と進む。
加えて、先進的な各社の取り組みも多彩であり、注目すべき点が多い業界だと言えよう。次なる25年の成長・発展がどのように進んでいくのか注視し続けたい。