富士フイルムは10日、外科手術中の肝臓内部構造の把握を支援する、AI技術を活用した「肝臓3D画像連動AI技術」と「超音波画像重畳AI技術」の2技術を新たに開発したと発表した。これらの技術によって、肝臓の外科手術におけるワークフローの効率化と均てん化を目指していく。
「肝臓3D画像連動AI技術」は、手術中に観察する内視鏡映像から肝臓の向きを解析し、事前に作成した肝臓の3D画像を内視鏡映像と同じ向きに自動で回転させ、同一モニター上で参照できるようにすることで、肝臓の表面からは観察することが難しい、肝臓内部の血管構造や腫瘍の位置などの把握をサポートする。
「超音波画像重畳AI技術」は、「腹腔鏡下術」や「ロボット支援下技術」の際に行われる術中超音波検査において、腹腔鏡やロボットの内視鏡映像内の超音波プローブの先端と末端(黄色枠内)に印字されているARマーカーを用いて超音波プローブの位置や方向を解析し、超音波画像を内視鏡映像上に重畳表示(赤枠内)することで、直感的な超音波画像の理解をサポートする。
従来は、位置情報を取得する際は、磁気センサーや光学式センサーなどの外部機器が必要だったが、この技術ではARマーカーを活用することで、このような外部機器を必要とせず、超音波プローブの位置を解析することができる。この技術を活用することで、見やすさ・ユーザビリティが向上し、術者の熟練度によらない、手技の均てん化が期待される。
近年、患者への負担が少ない、腹部に小さな穴をあけて行う「腹腔鏡下手術」やロボットを使った「ロボット支援下手術」の手術件数が増えている。そうした手術では、肝臓の表面からは見えない血管や腫瘍の位置を確認するために、術中超音波検査が行われているが、医師は手術中に観察する内視鏡映像と、超音波画像を同時にそれぞれ別の画面で見る必要があった。
さらに、超音波画像に映った血管や腫瘍が、内視鏡映像のどこにあるかを頭の中でイメージしながらプローブを走査する必要があり、術者には高度な技術や豊富な経験が求められている。そのため、手術中に超音波プローブ走査や画像の確認をより簡便に行える技術が望まれており、今回の二つの技術の開発は、こうした課題の解決に貢献するものと期待される。
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