【京大/オムロンHC】血圧測定継続性予測のAIモデル開発‐約30万人分の家庭血圧データを解析

2025年12月22日 (月)

 京都大学大学院医学研究科(奥野恭史教授)とオムロンヘルスケアによる共同研究講座の研究グループは18日、オムロンHCの健康管理アプリ利用者約30万人の大規模な家庭血圧の測定データを解析し、2週間の測定データとユーザー属性から、血圧測定の継続性を予測するAIモデルを開発したと発表した。

 研究グループは、オムロンHCの健康管理アプリ「OMRON Connect」に上腕式血圧計を登録している約30万人分のデータを解析した。その結果、血圧値に加え、測定頻度が、測定の継続に大きく影響することが明らかになった。特に、平日の測定頻度が前週に比べて減少したユーザーや、2週間の中での最高血圧値が一定以上高いまたは低いユーザーでは、アドヒアランスが低下する傾向がみられた。

 こうした成果を受け両者は、年齢や性別、血圧値や測定頻度、曜日ごとの測定パターンなどのユーザー属性と、過去2週間の測定データの傾向から、4週間後における測定継続の有無を9割以上の高精度で予測するAIモデルを開発した。

 今回、蓄積されたデータを機械学習手法により定量的に解析したことで、従来捉えにくかったこれらの特徴をAIが抽出し、測定中断リスクの高いユーザーを早期に特定できるようになった。

 今回の研究で開発したAIモデルによって、家庭血圧測定のアドヒアランス低下のリスクを早期に予測し、継続的な測定を支援することが可能になる。

 研究グループは今後、研究で得られたAI予測モデルを、次世代に向けたよりよい高血圧管理の実現のために積極的に活用していく。さらに、 オムロンHCが保有する健康機器から得られた大規模なデータと、京大の臨床知見・医療データ解析の知的基盤を融合させ、医療とテクノロジーをつなぐ「健康医療のDX」の実現を目指していく。

 京大とオムロンHCは、「AI解析技術と今までにない革新的な家庭計測データを用いた共同研究」を行う「健康医療AI講座」を2021年6月から今年3月まで、今年4月からは健康医療DX講座」を開設した。同講座では、医療機関や家庭用の健康機器から得られる大規模な時系列データを活用し、個人ごとの健康に関わるリスクを早期に検出・予測・改善する、次世代型の予測医療技術の創出に取り組んでいる。

 なお、研究論文「機械学習を用いた家庭血圧測定における測定継続性の予測(Predicting measurement continuity in home blood pressure monitoring using machine learning)」は、11月7日に「Hypertension Research」で発表された。


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