【日本薬学生連盟】薬学生の多くは睡眠不足‐見直したい生活習慣

2026年01月20日 (火)

 本格的に冬の季節になってきました。寒さに伴ってインフルエンザなどの感染症も流行っている中、皆様も体調を意識して日々過ごされていることと思います。今回、日本薬学生連盟広報部は、全国の薬学生53人にアンケート調査を行い、生活習慣や健康意識に関する質問に答えていただきました。ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。集計したところ、とても興味深い結果となりましたので紹介いたします。皆様の日々の生活を見直すきっかけになれば幸いです(執筆:広報統括理事 大阪医科薬科大学薬学部4年 塚本有咲)

小さな体調不良が頻繁に

 回答者の出身地は、53%が近畿、26%が関東、残りの21%は東北・北陸・中部・中国・四国地方が占めており、様々な地方の薬学生にご回答いただきました。

 学年は、49%が4年生、21%が5年生、17%が3年生、残りの13%は1年生・2年生・6年生でした。大学生活にも十分に慣れ、薬学の学修が応用や実践段階へと進んでいる3~5年生が、回答者の大半を占めました。

 学生生活での住まいは、66%が実家、28%が下宿での一人暮らし、6%が寮との結果でした。

図1、図2

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 発熱や感染症など、学校を休むレベルで体調を崩す頻度を聞きました(図1)。「年に一度」または「もっと頻度が低い」と答えた方が全体の約7割もおり、多くの学生が健康な状態を長期間維持できていると感じました。薬学部のカリキュラムには、実習や試験といった出席必須の日程が多いこともあり、体調を崩さないように気を付けている学生が多いのかもしれません。また「もっと頻度が低い」を選んだ方の回答では、「2~3年に一度」が最も多かった一方、「ほとんど体調を崩すことがない」「大学生活の6年間体調を崩したことがない」と答えた方もいました。

 自身の中で「しんどさ」や「だるさ」を感じるレベルで、調子が悪くなる頻度を聞きました(図2)。「月に一度」と答えた方が約3割と最も多く、他の選択肢も合計して月一度以上の頻度の方が全体の半数近くもいるという結果でした。

 大きく体調を崩す頻度と比較して、多くの方が小さな調子の悪さを頻繁に感じていることが分かりました。その原因としては、日々の授業や課題、バイトや研究などで忙しく、睡眠・運動・食事といった生活習慣にしわ寄せがいってしまっている可能性が考えられました。

勉強や夜更かしで寝不足

図3

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 平日の睡眠時間について質問しました(図3)。理想とされる睡眠時間の目安ですが、厚生労働省は、成人には最低でも6時間以上の睡眠を推奨し、6~8時間が適正としています。米国国立睡眠財団は、大学生(18~25歳頃)の適切な睡眠時間は7~9時間としています。そこで適正睡眠時間を6~9時間と仮定して結果を見ると、適正範囲の睡眠時間を確保できている薬学生は約67%でした。残りの学生のほとんどが「4~5時間程度」と回答しましたが、もっと短いと回答した方も少しいました。

図4

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 適切な睡眠時間には個人差があると思います。そこで現在の睡眠時間は十分に足りているかを答えてもらいました(図4)。丁度良い睡眠時間だと答えた学生は予想よりはるかに少なく、約11%しかいませんでした。実に85%もの学生が、睡眠時間が不足していると自覚しているようです。

図5

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 なぜ睡眠が足りていないのかを聞いたところ(図5)、約8割が「つい夜更かしをしてしまう」を選び、勉強や研究室、バイトなどやるべきことや、やりたいことのために睡眠時間を削っている方も多くいることが分かりました。一方で、睡眠時間は確保できていても、全体のおよそ15%の方が、寝つきの悪さや途中覚醒が原因で寝不足になっていると答えました。その理由の一つに、日中の活動量の不足などで睡眠が浅くなっていることが考えられます。

 そこで運動に関して、一週間に意識的に行っている頻度を聞きました。すると7割以上の方が「ほぼしていない」と回答しました。今回のアンケートの主な回答者である3~5年生は、学業や実習の多忙に加えて部活もほぼ引退しており、運動の機会を確保できていないと推測できます。そのため、日々の通学などの限られた短い時間の中で、できるだけ身体を動かすように意識することが大事になってくると思いました。

 食事に関して、1日に何回摂っているかを質問したところ、71%が「1日3食」、27%が「1日2食」と答え、「全く食べない日もたまにある」や「1日4食」と答えた学生も若干名いました。「1日2食」と答えた方のほとんどが、「昼と夜の2食」を摂っているようでした。その理由として、朝は時間がなかったり食欲がなかったりで、朝食を抜いてしまうという回答が多かったです。このことは、睡眠不足で朝は少しでも長く寝たいと思う学生が多いことも影響しているのではと思いました。一方で、朝にしっかり食べていることで、昼食を食べずとも夜まで十分にもつと答えた方もいました。

意外と多い自然治癒派

 アンケート調査を実施した昨年12月上旬頃は、インフルエンザA型やコロナウイルスが全国的に流行していました。12月に入ってからのマスク着用の有無に関して、「基本的にずっと付けている」または「人が多い密な場所では付けている」方が64%、「ほとんど付けていない」方が32%でした。

 インフルエンザワクチンの接種頻度に関して、「年に1回」または「2~3年に1回」と答えた方と、「基本的に打っていない」と答えた方で約半数ずつでした。

 医療系学生であるので、ほとんどが感染対策を徹底して行っているのではと予想していましたが、実際は対策の度合いは人それぞれであることが分かりました。

 健康状態を保つための対処や工夫も調べました。まず、体調が悪い時に行う対処法を聞きました。94%の方が「とにかく寝て治す」と回答し、寝ることが最も治りが早く、回復への近道だと考えている方がほとんどのようでした。普段の寝不足の蓄積や、忙しさによる体力の限界がくることで体調が悪くなる方も多く、睡眠イコール休息という意味で寝ることが大事だという意見も多々ありました。

 また、薬局などで販売されているOTC医薬品や、医療機関の受診で入手できる医療用医薬品など、何かしらの形で「医薬品を服用する」と答えた方は全体の約7割でした。その中で「漢方薬を服用する」と答えた方は1割でした。漢方薬は西洋薬と比較して副作用が少ないといったメリットがあるので、もっと体調不良の際の対処法として選ぶ方が増えてもいいのではと思います。

 一方で、「健康食品の摂取」や「自然治癒で治す」と答えた方は全体の約3割でした。休息などで自身の免疫機能を高め、薬を服用せずに自然に治すと答えた割合が予想よりも高く、驚きました。薬学を学んでいるからこそ、症状が軽かったり薬以外で効果を代替できたりする際は、医薬品を摂取しないで自然に治そうと考える方も一定数いるように感じました。

食事やストレス対策を工夫

図6

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 健康のために日々習慣づけ、工夫したいことを答えてもらったところ、やはり睡眠・運動・食事に関することを挙げた方が多かったです。特に睡眠に関しては、実に9割以上の方が、自身の体調に影響している要因であると答えていました(図6)。睡眠の重要性を自覚していながら、十分な睡眠時間を確保できない状況が長く続いている方が多いと感じました。

 食事に関しては、毎日朝食を摂ったり、食事の時間帯を一定にしたり、野菜を積極的に摂ったりしたいという回答がありました。

 運動に関しては、階段をできるだけ使うようにするなど、日常の中で少しずつ身体を動かす頻度を増やしていきたいという回答が多くありました。

 これら二つは、睡眠と比較しても自身で管理や調節がしやすいため、実際に習慣づけている方も多かったです。生活習慣を良い方向に変えていくための工夫としては、これらはハードルが低く、比較的取り組みやすいと思われます。一方で、食事と運動を改善したとしても、睡眠不足の影響を補完したり解消したりはできないようにも感じました。

 他にも生活リズムを整える工夫として「日光を浴びる」「お風呂の湯船につかる」「ストレッチをする」などの回答がありました。これらは、リラックスできて睡眠の質の向上にも良い効果を示すと考えられます。

 体調に影響する大きな要因の一つとしてストレスを挙げる方が多く、その中でも特に人間関係に関するストレスの影響が大きいようでした。ストレスを軽減するために「ストレスを溜めないようにする」「耐え難い時はその状況から逃げる」「適度なストレス負荷となるよう予定を詰めすぎない」「無理せずリラックスした状態で過ごす」といった工夫が多くありました。気温や気圧などの環境変化に最も影響を受けると答えた方も一定数いました。

 健康維持のために必要な要素はたくさんありますが、今回のアンケート調査で、睡眠が最も影響があり重要視すべきであると考えさせられました。日本は世界的に見ても平均睡眠時間が短く、睡眠不足大国とされていますが、それは薬学生にも当てはまっていると感じます。睡眠状況が改善すれば、体調を崩す頻度も減り、日中のパフォーマンスも格段に向上することでしょう。この機会にぜひ、ご自身のこれまでの学生生活を振り返ってみてください。



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