東京大学病院消化器内科の齋藤友隆助教と東京女子医科大学消化器内科の中井陽介教授らの研究グループ(the WONDERFUL study group)はこのほど、急性膵炎後の被包化膵壊死(walled-off necrosis:WON)への内視鏡治療で、ドレナージ後早期の壊死物質除去(内視鏡的ネクロセクトミー)が、偶発症を増やすことなく治療期間を短縮させることを明らかにした。未だ死亡率が10%かそれ以上の難治性疾患である急性膵炎後WONの治療に関して、治療期間短縮による治療成績の改善効果、救命率の改善効果が期待される。
これまでの先行研究では、急性膵炎後WONへの内視鏡治療において、ドレナージ後早期の壊死物質除去が治療期間を短縮させるという結果が、後ろ向き研究では報告されていた。しかし、それを前向き比較試験で検討したものはなかった。
今回、同研究グループは、急性膵炎後WONへの内視鏡治療において、ドレナージ後早期の壊死物質除去が偶発症を増やすことなく、治療期間を短縮させることを多施設前向き比較試験(急性膵炎後の被包化壊死に対する超音波内視鏡下ドレナージ後の治療戦略を検討する多施設共同無作為化比較試験:WONDER-01)によって明らかにした。
この臨床試験では、急性膵炎後WONに対する内視鏡でのドレナージ治療を受けた70人の患者を、ドレナージ治療後早期に壊死物質除去を実施する群(早期ネクロセクトミー群:33人)と、従来通りの方法を行う(step-up治療)群[従来(Step-up)群:37人)]に無作為に分け、壊死物の塊のサイズの減少(3cm以下)と炎症マーカーの改善が見られるかどうかを評価した。
その結果、早期ネクロセクトミー群は従来(Step-up)群よりも短期間で臨床的成功(壊死物サイズの減少と炎症マーカーの改善)を達成した。また、全例で内視鏡的ネクロセクトミーを行っている早期ネクロセクトミー群と従来(STep-up)群のうち、内視鏡的ネクロセクトミーを受けることになった46%の患者群では、内視鏡治療(超音波内視鏡下ドレナージ、内視鏡的ネクロセクトミーや内視鏡下ステント位置調整・交換などを含む)を行うことによる有害事象の発生率は同程度であり、有意差は認められなかった。
今回の研究から、治療期間の短縮による治療成績の改善・予後改善につながり、難治性疾患治療の研究の発展に寄与することが期待される。
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