カネカは14日、ベルギーのバイオベンチャー「ユーロジェンテック」の過半数の株式を約40億円で取得し、連結子会社化することで合意した。買収を機に、蛋白質やペプチド、核酸など、バイオ医薬原料の受託製造事業を本格的に開始する。10年後には約300億円規模の事業に育てたい考えだ。
カネカは以前から、合成低分子薬の原料や中間体の製造を手がけている。その一方で、バイオ医薬市場が拡大すると見て、微生物系培養による蛋白医薬製造の基礎技術や、低分子化抗体の生産技術開発を進めてきた。これらの技術を活用し、バイオ医薬の原料製造を受託する体制を早期に構築するため、バイオ医薬の製造設備を持ち、実績もあるユーロジェンテックの買収を決断した。
カネカの技術と、ユーロジェンテックの事業基盤を組み合わせて、バイオ医薬の製造受託を本格的に開始する。今後、時期は未定だが、蛋白医薬製造の大型プラント新設、核酸分野への展開強化なども計画している。
ユーロジェンテックは1985年に設立。蛋白質、核酸、ペプチドの各分野で、医薬・診断薬の受託製造や研究試薬の販売を行っている。09年の売上高は約47億円。従業員数は約400人。日米欧に製造販売拠点を持つ。日本では、遺伝子工学用試薬メーカーのニッポンジーンとの合弁企業として、富山市にニッポンイージーティーを01年に設立している。
カネカが手がける、低分子薬の原料や中間体の製造、機能性食品素材の製造など、「ライフサイエンス事業」の10年3月期売上高は392億円。カネカの売上高全体の約9・5%を占める。