小林製薬は、２０１１年春の新製品内覧会を開催した。今春は医薬品３品を含む計８品目を上市し、初年度売上高３１億７０００万円を目指すことにしている。
記者会見した常務取締役製品事業統括本部薬粧品事業部長の辻野隆志氏は、製造販売事業の業績予想として、11年３月期は売上高１２００億円（前年同期比３・８％増）、営業利益１７４億円（９・４％増）と、13期連続の増収増益を見込んでいると説明。また、「ヘルスケア領域の強化をここ数年唱えているが、今期末には日用品とヘルスケアが50対50の売上構成比になる」との見込みを示した。
小林製薬グループとしての経営方針としては、「開発至上主義」を追求していくことを強調。ヘルスケア領域の「市場開発」にさらに注力していく方針で、「漢方やスイッチＯＴＣ薬、健康食品など、セルフメディケーションに向けた情報提供に力を入れていきたい」とした。また、第１類医薬品についても、昨年に同社初となった「フェミニーナ膣カンジダ錠」を発売したが、「今後も新薬メーカーとのタイアップの中で、開発に取り組んでいく」としている。
グローバル展開については、「製品開発も現地主義を進めていきたい」とし、最大市場は中国と米国で、「現在、カイロが中心だが、拡大するためには医薬品に注力する方向で進めていく」との考えを示した。
さらに、通販事業は今期１０２億円（16％増）を見込むなど、強力な成長戦略を掲げているが、現在の健康食品中心から医薬品までを視野に入れながら、人的にも製品開発にも投資し、「倍増を目指す」方針。
注力する新製品のＯＴＣ薬は２品目。その一つが、傷あと改善薬の「アットノン」。ヘパリン類似物質が皮膚組織の再生を促し、気になる傷あと・やけどあとを改善する。
20～50代女性を対象とした調査では、手術以外でできた３年以内の傷あとがある人は約１０００万人で、そのうち一人平均２・７個の傷あとがあるという。また、傷あとは女性の大きな悩みとなっており、新規性の高い新市場の創造を図る。
もう一つが、つらい排尿痛、残尿感を改善する漢方処方の医薬品「ボーコレン」。主成分は五淋散で、炎症を抑え細菌を洗い流す。利尿、抗炎症、血流改善の作用があり、膀胱炎治療がＯＴＣ薬で可能だということを訴求していく。
11年春の新製品８品目
〈医薬品〉：▽目立って気になる傷あと・やけどのあとを改善するジェルタイプの傷あと改善外用薬「アットノン」（15ｇ・税込み１３６５円、３月２日発売、初年度売上目標６億５０００万円）▽11種類の生薬を配合した、排尿痛・残尿感を改善する漢方薬「ボーコレン」（48錠・１６８０円、３月23日、３億８０００万円）▽肩・首すじに塗るだけで、肩こりをほぐしながら頭痛を鎮める塗るタイプの頭痛薬「塗るズッキノンａ軟膏」（15ｇ・１０５０円、３月23日、３億６０００万円）
〈芳香消臭剤〉：▽天然柑橘オイルを配合したフレッシュ香料が臭いを消臭し、さわやかな香りをしっかり広げる芳香消臭剤「ビーズの消臭元 fresh !」（マリンアクアソープ、アクアグレープフルーツ、ウォータリーフローラル、フレッシュフランスの４種。本体１００ｇ・３１５円、つけ替え用１００ｇ・２３０円、３月23日、６億５０００万円）▽世界各地の自然な空気をイメージした香りが、瞬時に部屋全体に広がるミストスプレー「世界香路ミスト」（ブルガリア・ウォータリーローズ、ヴィクトリア・フォールスプラッシュ、シチリア・オレンジフラワーの３種。２８０mL・４２０円、４月15日、４億４０００万円）
〈家庭用雑貨品〉：▽お風呂の床の細かい溝の汚れを専用スポンジと重曹スクラブ潜在でスッキリ落とす浴室用洗剤「ジェリピカ」（１３０ｇ＋スポンジ１個・３６７円、３月16日、３億５０００万円）▽電子レンジで約５分間加熱するだけでメイン料理やおつまみ料理などが作れる電子レンジ用発熱調理カップ（５カップ・３１５円、３月16日、１億８０００万円）
〈衛生雑貨品〉：▽靴内にスプレーするだけで瞬時に冷やして、蒸れた足をリセットする靴内冷却スプレー「靴クール」（１００mL・５４６円、３月１０日、１億６０００万円）
