IT化推進で業務を効率化
音声入力が強力サポート
アルバ薬局新長田店のスタッフ（中央が横田社長）
兵庫県神戸市を中心にアルバ薬局の名称で11店舗の調剤薬局を展開するアルバ（社長横田裕昭社長）は、「社会に貢献する薬局・薬剤師をめざす」を基本理念に、服薬指導時には、患者とのフェーストゥーフェースの対応を心がけている。特に正確・安全・迅速な調剤を遂行する意味で、ＩＴ化を積極推進するなど薬剤師業務の効率化を図っている。今年に入り、ネグジット総研が販売する音声認識薬歴作成支援システム「Lyra（ライラ）」を全薬局に導入。薬歴記録入力時間の大幅な削減で効果を発揮している。
投薬の際にもリラックスした笑顔を提供
横田社長は、「薬剤師は処方箋応需から投薬までの一連の業務の中で、『常に間違ってはいけない』というストレスにさらされている。その緊張状態の中では、患者対応で、本当の笑顔などは作れない。業務効率化の機器導入により、そのストレスを少しでも軽減することが必要だと考えた」と語る。これまで２次元コード、電子薬歴システム、薬袋自動発行システム、全自動錠剤分割分包機、全自動調剤システムの導入などを、全社的に導入してきた。
同社のレセプトコンピューターはネグジット総研の「調剤くん」。今年初めにレセコンと連動する音声認識入力システム「ライラ」を全店で導入した。効率化を図る上で、時間を最も費やす業務が薬歴記録の入力作業だった。
薬歴作成も作業の合間に簡単入力できる
「ライラ」は高い認識精度を持ち、キー入力をなくし、普通に会話するようにマイクに話すだけで、音声をそのまま文章として記録できる点が大きな特徴だ。「使用する人」を固定せず、事前登録がなくても、誰の声も認識。薬歴作成に特化し、医薬品名から服薬支援まで約５万の医療用語を搭載しているため、専門用語もスムーズに変換し、効率化をサポートする。
さらに、個人の発音の癖や音声の特徴を学習し、使い込むほどに認識精度が向上する音響学習機能や略語の単語登録、長文、定型文を登録することができるテンプレート機能などを搭載している。音声による薬剤情報検索が可能で、「警告、禁忌、効能・効果、用法・用量、併用禁忌、重大な副作用」の６項目について、添付文書の情報検索もできるシステム。
投薬時の患者対応が充実
アルバ薬局新長田店（神戸市長田区）も、ライラの導入後、業務効率化で成果を上げている薬局の一つ。
新長田店はＪＲ新長田駅から徒歩１分の医療モールビル内２階に位置する。処方箋の大半はモール内クリニックからで、月間応需枚数は１５００～１６００枚に及ぶ。現在、薬剤師スタッフは６人体制で対応している。
佐藤慈薬局長は、「ライラ」の導入で、「通常のキー入力よりも作業が５倍速まった。単純処方であれば、１人当たりの入力は１分ほどで終了できる。特に医療用語が豊富で、格段に変換がスムーズ。その日の患者さんの薬歴記載はその日のうちに終えて帰ることができる」と語る。また、手入力の際には、「気持ちの上で早く終わらせようと簡潔にまとめてしまいがちだった。ライラは、音声入力のため、より詳細な患者情報を、長文で記録することも苦にならなくなった」という。
全自動調剤システムも導入。薬剤師業務効率化を限りなく追求
同薬局ではライラを調剤室内に２セット配置し、随時、入力作業を行っている。現在、１人が投薬を行い、全自動調剤機が薬剤をピッキングしている間に、薬歴を入力することが可能となった。そのことで、少人数の薬剤師でも薬局自体を回せるようになったという。
ライラの音声認識レベルは０～１２６までの段階がある。「使えば使うほどレベルが上がり、慣れてくると３行くらいの文章でも、全てきれいに変換できる」（佐藤氏）という。同社でもレベル60に達する薬剤師の場合は、独自のレポート作成も音声入力で行っている。
横田氏は「薬歴記録入力のための残業も多かったが、ライラ導入後は、ほぼゼロになった」と話す。調剤業務で機械化できるところは徹底的に取り組み、本来、薬剤師が注力しなければならない投薬時の患者対応に取り組めるという。時間を効率的に使うことで、余った時間で勉強会など、有効に使うことができるようになったようだ。
横田氏は「働いている薬剤師の様子が、明らかに変わっています。特に患者数の多い薬局の場合は、薬歴記録の入力に時間がかからないことが大きな改善点。導入して良かった」とその効果を実感している。今後も、薬局業務のさらなる効率化を追求していくことで、薬局本来の品質向上につなげていきたい考えだ。
株式会社ネグジット総研
http://www.chouzai.nextit.co.jp/
