システム活用で適正在庫保持
経営資源とマンパワーを有効に
ファーマスクエア(東京中央区)は「健康、笑顔、つながり、安心安全」をキーワードに、北は秋田から南は沖縄まで全国81店舗(2010年6月時点)を展開する。東京都多摩市にあるあさひ薬局唐木田店では、駅前の好立地を生かして様々な患者から面で処方箋を応需。処方箋の調剤業務に加えて一般用医薬品やサプリメントの販売等の業務を展開する。
発注業務を効率化‐「e-ENIF.net」を活用
あさひ薬局は小田急電鉄多摩線の唐木田店駅前に立地し、脳神経外科や整形外科、小児科を中心とする幅広い診療科の処方箋を面で応需している。薬剤師数は常勤4人、パート3人。サプリメントアドバイザーと登録販売者の資格を持つ事務員も配置。処方箋調剤のほか一般薬の相談・販売にも力を入れている。
ファーマスクエアでは展開する調剤薬局で、東邦薬品の医薬品発注・情報端末機「ENIF」を導入。唐木田店でも2年半ほど前から「e-ENIF.net(イーエニフドットネット)」を使ったオンライン発注を行ってきた。
管理薬剤師の豊川夕姫氏は「オンライン発注をすることによって、発注にかかるマンパワーが大きく削減された。システムによって必要な在庫数も確認できるので、どのスタッフでも発注することができる」と、発注業務が大きく改善したと話す。
システム導入から2年半が経過した現在では、同薬局で取り扱っている薬の流れや適正在庫、必須在庫など重要なデータがほぼ出そろった。そこで次の段階として「e-ENIF.net」の需要予測発注機能を活用して、より細かく欠品、過剰在庫をなくし、適正在庫を保持するための取り組みをスタートさせた。
問題点を“見える化”‐需要を予測して発注
「e-ENIF.net」には、発注、在庫管理業務の効率化だけでなく、欠品や過剰在庫などの問題点を“見える化”して、経営資源を有効に活用できる機能が搭載されている。トップ画面を開くと、売上金額や粗利、在庫金額、不動在庫金額、在庫回転数など各種実績表が表示される。また長期処方薬カレンダーでは、長期処方患者の来局予定日や調剤予定数量も把握できる。さらに、指定期間の在庫月数、日ごとの在庫実績、在庫金額の推移がグラフに表示され、日々の在庫状態が可視化できるのも特徴だ。
システムの大きな魅力の一つとして、「需要予測発注」が挙げられる。需要平均から割り出した安全在庫数量または期間内の1日最大出庫数量の、どちらか数量の高いものを発注点として、在庫の自動発注ができる機能だ。豊川氏は「当店は1500品目を超える在庫があり、全てを把握するのは難しい。患者様から選ばれ、信頼される薬局になるためには、欠品は絶対にあってはならない。経営面から考えると、多すぎる在庫は負担になってしまう。バランスの取れた適正な在庫数管理が重要になる」とし、人の手だけではどうしても難しい適正在庫保持をシステムで管理することを試みている。
まずは手始めに、漢方薬、吸入薬、点鼻薬、点眼薬など、数が把握しやすく出庫傾向がはっきりしている品目から需要予測を始め、次には向精神薬の予測発注も行いたい考えだ。「患者様にとって薬がすぐに手に入らないことは、本当に辛いことで、絶対に欠品できない」と、同薬局を選んで足を運んでくれる患者に確実に薬をわたすため、システムの活用に期待すると話す。
グループ内で在庫を融通‐経営資源を効率化
このほか「e-ENIF.net」には、余剰在庫の自動登録機能などを使うことで、グループ内のデッドストック情報を閲覧、共有する機能も搭載されている。デッドストックリストを共有することで、グループ店舗内で余剰品を融通し合うことが可能となり、経営資源の効率化に役立てることができる。
「ENIF」シリーズの活用で在庫数量の適正化や発注業務の効率化による省力化などを実現しているあさひ薬局唐木田店。システム化により創出した時間とマンパワーによる効果で、一般薬・サプリメントの相談応需、持ち回りで作成する季節の健康話題を盛り込んだ「あさひ便り」など、患者から選ばれる薬局になるための試みを、今後も積極的に展開していきたいと豊川氏は語る。
東邦薬品株式会社
http://www.tohoyk.co.jp/ja/products/system/e-enif/index.html