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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】アイン薬局伏見店(ユヤマ)

2011年07月29日 (金)

調剤ロボットで安全性向上

患者との対話増え業務深化

アイン薬局伏見店のスタッフ(前列左から3番目が細田薬局長)

 京都市のアイン薬局伏見店は今年1月から、業界で話題の“調剤ロボット”を導入した。錠剤PTPシートを端数まで全自動で払い出す、革新的な装置。ロボットならではの正確な払い出し機能によって、計数調剤の精度が上がり、安全性が高まった。最終鑑査時も、錠剤の数合わせに終始することなく、他の様々な問題点に目が届くようになり、本来の業務である患者との対話に充てる時間が増えた。今まで以上に、薬剤師本来の仕事に力を注げる環境になったという。

1日280枚を応需するアイン薬局伏見店。アインファーマシーズ近畿エリアのモデル店と位置づけられている

 伏見店は、アインファーマシーズ近畿エリアのモデル店。蘇生会総合病院前に、2009年10月にオープンした大型薬局だ。1日平均約280枚の処方箋を応需し、スタッフ人数は薬剤師11人、事務員9人。在宅医療も担っている。

 ユヤマの錠剤PTPシート全自動払い出し装置「ロボピック」が伏見店に導入されたのは1月のことだ。調剤業務のオートメーション化を推進するアインファーマシーズは、昨年グループ各店へ導入するための検証を実施。4月末までに5店舗に導入し、伏見店はアイングループ内において「ロボピック」導入の第2号店となった。

調剤室の一角に設置されたロボピック(左手前)

 伏見店では導入当初、システムと人員配置・運用方法とのバランスに課題があったが、1カ月もするとそれらは解消し、やがてその利便性や安全への貢献を評価するようになった。「今ではロボピックがなくては、店舗が回らないほど」と、伏見店薬局長の細田富生氏は話す。

3ルート同時に計数調剤‐処方せんの半数以上に関与

 伏見店の窓口で、患者から処方箋を受け取ると、OCRでの処方箋データ読み取りや、薬剤師による処方鑑査などを経て、計数調剤の指示が各装置に送られる。計数調剤は、[1]調剤棚から手作業でのピッキング[2]ロボピックによる払い出し[3]全自動錠剤分包機による一包化――という3ルートで同時に進む。

ロボピックの搬送トレイには、端数まで含めPTPシートが全自動で払い出される

 指示を受けたロボピックは、PTPシートを端数まで含めて搬送トレイに払い出す。1日3回7日分21錠という、よくある処方の場合、その時間は約40秒。伏見店で汎用する128品目のPTPシートが搭載され、全処方箋のうち半数以上の調剤に、ロボピックが関わっている。

 導入によって何が変わったのか。最も重視したのは調剤過誤防止への貢献だ。アインファーマシーズは、調剤棚からのピッキング時に、バーコードを携帯端末で読み取って処方データと照合することで、過誤を防ぐシステムを以前から活用している。伏見店ではこのシステムによって、薬剤の取り間違いは防止できているが、数量間違いについては、完全には防ぎきれていなかった。

 こうした数量間違いを中心に、調剤ミスの総数が、正確な数を払い出せるロボピックの導入後は大きく減少した。

 「スタッフ数が少なく、慌ててミスを起こしやすい時間帯でも、ロボピックが助けてくれ、落ち着いて自分の担当業務に専念できる」と細田氏は言う。

薬剤師本来の業務に注力‐相加作用、相乗作用大きい

 スピードも向上した。導入前は14分間だった平均待ち時間が、導入後は12~13分間と短くなった。

 業務の効率化も実現した。「ロボットと薬剤師が同時並行で調剤するため、時間を短縮でき、薬剤師は他の業務に力を割ける」と細田氏は説明する。効率化が進んだ結果、「ロボピック」導入後は薬剤師2人減、事務員1人増で、以前より少ないスタッフ数でも同等以上の業務を行えるようになったという。

 これらの環境変化によって、「薬剤師が本来やるべき業務に、人員を配置することが可能となり、そこに十分な時間を充てることが可能になった」と細田氏。「ロボピック導入による相加作用、相乗作用は大きい」と強調する。

 薬剤師は患者と対話して、適正に薬を服用できているか、薬は目的通りの効果を発揮しているかなどを確認し、問題があれば医師にフィードバックする。そうした流れが効果的な薬物療法につながる。「ロボピック」の導入は、質の高い鑑査や服薬指導の実践につながったという。

 「われわれは、さらに高度な薬剤師の仕事を目指している。薬剤師が計数調剤に関わり過ぎているのでは、次の発展が見られない。ロボットで代替可能なら置き換え、本来やるべき業務に力を割くべきではないか」と細田氏は話す。

株式会社ユヤマ
http://www.yuyama.co.jp/



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