新たなオフィス棟が完成‐セキュリティ対策を強化
万葉のふるさと明日香村は、大陸から仏教と共に漢方医薬がいち早く伝来したという歴史的背景を持っており、これをもとに薬草栽培や奈良の配置薬産業が育ってきた。高市製薬(奈良県高市郡・中井美和社長)は1922年にこの地で創業し、以来100年以上にわたり主に医薬品や医薬部外品ドロップ剤の開発、製造を行っている。昨年4月には、同敷地内に明日香村の歴史的な風土保存地区の規制に沿った新オフィス棟を建設した。

会社風景
同社は、開発指向型による処方設計と一貫製造・OEM製造に対応できる製造設備の充実、管理体制の強化で成長を続けている。昨年4月に完成した新オフィス棟では、ウイルス等の感染予防対策としてオフィス内に24時間換気システムを導入。GMP関連書類については、入退室を始めとするセキュリティ対策を強化。サイバー攻撃対策として総合セキュリティサービスを導入する等、次の100年に向けて設備を拡充している。
60年以上の実績があるドロップ剤の製剤技術は、品質・シェアともに業界トップクラスの評価を受けている。昨今はインフルエンザ等ウイルス感染症に対して口腔ケア・咳エチケットの観点からドロップ剤への注目が集まっており依頼が増加傾向にある。
ドロップ剤は苦味などのマスキングにも優れており、既存医薬品の服用性改良につながっている。その製剤技術を生かし、水なしで服用できるチュアブル剤を開発し、日本で初めてドロップタイプのチュアブル剤の医薬品承認許可を取得した。この新剤形は使いやすさや優位性により、様々な薬効群にも対応。その製剤技術は同社の特殊技術として各方面に広がっている。
また、同社が取り組んだドロップ基剤イソマルは、夏場高温多湿となる日本で防湿性に優れ、非う蝕性でむし歯の原因にならず、ノンシュガー100%の低カロリー基剤で急激に血糖値を上げない。日本で唯一、医薬品(口腔用薬)として製品化にも成功し、20年以上の実績を誇る。現在では口腔用薬にとどまらず、幅広い薬効群や服用方法の分野で注目されている。
同社の開発技術力は、多様化するニーズに対応できることから医薬品開発のパートナーとして大手企業からの引き合いもあり、新製品の共同開発や販売提携につながっている。
今後も新しい製剤技術研究で「美味しい、服用しやすい、使いやすい」の付加価値を高める製品創りを積極的に展開していく。
高市製薬
http://www.takaichi.co.jp/