医薬品事業拡大目指す‐滋賀県製薬を買収
2019年11月にゾンネボード製薬(現・NISSHAゾンネボード製薬)を買収し、医薬品市場に本格参入したNISSHA(本社京都市)。2030年のサステナビリティビジョンでは全社売上高3000億円のうち1500億円をメディカル市場で、そのうち医薬品事業での200億円達成を掲げる。今年1月には一般用医薬品(OTC)の開発製造受託(CDMO)を手掛ける滋賀県製薬の株式を取得し子会社化。同社をNISSHAグループの医薬品事業の中核の一社と位置づけ、OTC業界ナンバーワンのCDMOに育成していく方針だ。

1月に子会社化した滋賀県製薬
NISSHAのPCBU(ファーマシューティカル・コスメティクス・ビジネス・ユニット)リーダーでNISSHAゾンネボード製薬、滋賀県製薬の両社代表取締役も兼務する安井俊之氏は「滋賀県製薬はCDMOのビジネスモデルで強固な市場地位を築き、豊富な顧客基盤を有している。滋賀県製薬の生産能力や豊富な顧客基盤とNISSHAグループの経営リソースや先進的な生産技術を組み合わせ、さらなる医薬品事業の規模拡大を目指したい」と展望する。
現在、NISSHAグループの医薬品事業規模は、滋賀県製薬を含め約70億円。これまで次世代を担う新規事業として医薬品や食品向け口腔内崩壊フィルム製剤(フィルム製剤)のCDMOの展開に注力してきた。国内の医療用医薬品製造の中心となるNISSHAゾンネボード製薬は長期収載品の需要に対応する形で年率成長しており、さらなる製造キャパシティの拡大も視野に入れる。現在、工場内にフィルム製剤専用の製造所の準備を進め、区画内にクリーンルームや装置を設置し、NISSHAの工法も技術移管。
安井氏は「製造設備に関するバリデーションも完了し、今後は品目毎の工業化検討を進めていく段階にある。フィルム製剤に関しては食品やサプリメントを中心にマーケティング活動を展開し、実績を積んだ上で、段階的にOTCや医療用医薬品の開発にも取り組んでいきたい。様々なヘルスクレームに対応するフィルム製剤の機能性を打ち出していきたい」とし、口腔内に長時間付着できる機能を活用した商品企画や、徐放性を生かしたレスキュー薬的な製剤開発も検討していく考え。
NISSHAゾンネボード製薬では、今年1月に医薬品の第一種製造販売業も取得。長期収載品目の承継ニーズにも対応するほか、バイオベンチャー、大手医薬品メーカーでは、フィルム製剤を活用した医療用新薬の探索活動も行われていることから、「長期的には粘膜吸収という切り口で開発を手掛けていきたい」とする。
1月の滋賀県製薬の買収については、NISSHAゾンネボード製薬がフィルム製剤を切り口にCDMOに参入する事業展開を進める中、「提案できるCDMOのラインナップを増やしたかった」と説明する。また、滋賀県製薬は、長年にわたる大手製薬企業からの受託製造の運用実績に加え、カプセル剤やフィルムコート錠などの製剤可能な剤型が充実。大きな需要に対応できる生産能力が揃い、バルク製造後の包装工程は、様々な要求があるOTCに関して超高速ラインでPTP包装、カートニングや瓶充填など、日本でも有数のラインスピードと高く評価している。
NISSHA
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