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【製造アウトソーシング】アドラゴスファーマ

2025年03月14日 (金)

日本事業の拡大に注力‐バイオ事業へ投資検討

ジルストラ氏

ジルストラ氏

 アドラゴスファーマは今年、日本事業の拡大に取り組む。日本事業では、基幹施設である2023年に買収したサノフィの川越工場(埼玉県川越市)の固形剤10億錠体制を完成させ、20億錠体制に向けた投資を具現化する。厚労省の懸念事項の一つである医薬品の安定供給に資するべく、早期の固形剤製造能力増強を製販各社との協業を通じて行う計画である。

 同社は今後、バイオ医薬品を対象にした事業投資も検討する。さらに拠点の拡大も進める。今後も高い品質管理、コンプライアンス体制を前提に、顧客中心主義をベースにした透明性高いプロセスを共有することで顧客の信頼感を高め、受託拡大を図る方針だ。

 24年は川越工場が、買収後初めてフルで1年稼働した年となった。当初予算を上回る実績を上げた。新規品目の受託では、錠剤製造、無菌製剤の検査包装案件を多数受注し、同社は「さらなる成長のための重要な年だった」と振り返る。

 独アドラゴスのCCO(チーフ・コマーシャル・オフィサー)のヘニー・ジルストラ氏は、「われわれは2020年に設立したばかりの企業で、欧州を中心に成長を図ってきたが、日本の川越工場がなぜそれほどの実績を上げているのかと思うかもしれない。その背景には川越でも顧客中心主義のマインドセットができていることが挙げられると思う」と話す。

 顧客中心主義のオペレーションとは何か。同氏は「透明性を持ったコミュニケーション」を挙げる。例えば、技術移管部門をメインの担当窓口を作り、合意したタイムラインで目に見える形で技術移管が進められる。秘密保持契約など各種契約締結やタイムラインと実施事項の合意形成を迅速に行い、技術移管までの期間の短縮を図る。

 これは不案内な新規顧客には魅力の一つになろう。同氏は「透明性高い運用は信頼を勝ち取る最初のポイント」と力を込める。川越工場はもともとサノフィの施設であったことから、外資系ならではのシステムマチックで効率的な運用には慣れていたこともアドバンテージになっているという。

 同氏は「川越は、CDMOへの業態転換があったとはいえ、社員の成功へのハードワーク、新業態への適応力があった。グローバル本社からは最も成功したケースと認められている」と指摘する。

 これらの前提として、高い品質管理、コンプライアンス体制を挙げる。同氏は「品質は絶対に譲れない最優先事項」と強調する。

 日本では製造不祥事が相次ぎ、関心が高いところ。同社は、CSO(チーフ・サイエンティフィック・オフィサー)のもと、米国や欧州を含むグローバル基準に基づいた品質管理の維持を目指し、それを実践する品質文化の浸透に注力している。

 同社は、透明性が高い運用を含めたこれらのポリシーに合意できる顧客と契約と信頼を結び、積極的な提案をし、顧客により良い事業発展の機会を提供することをサービスの基本に据えている。

 今後も日本へ積極投資する方針だ。低分子薬の製造、包装に加え、バイオ後続品を含め市場拡大が見込まれるバイオ医薬品への対応も視野に入れる。まだ具体的ではないが同氏は、「もともと得意な検査、包装を拡大していくべきか、バイアルやプレフィルドシリンジを充填する設備を拡張していくべきか、市場の動きを見据えて25年には具体案にしていくことを考えている」と述べた。

 最後に読者にメッセージをこう送る。「われわれ自身はまだ日本市場では十分に知られていない。日本の顧客も製造先を変えていくということには保守的な文化がある。その中でもぜひ一度、川越工場を見学してほしい。設備はもちろん、事業体制、クオリティカルチャーなど、良さを本当に感じていただけるのではないかと思う」

アドラゴスファーマ
https://adragos-pharma.com/ja/



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