AIと人の協働モデル構築‐最適なサービスを高品質で

平尾氏
アスカコーポレーションは、専門性の高い翻訳者とAIなど最新技術を積極的に活用した人とテクノロジーの融合により、高い翻訳品質を伴ったサービスに注力している。医薬領域の文書は人の健康、生命を左右するため高い正確性を求められ、それが医療者・患者らに正しい情報を提供することにつながる。加えて国際競争が激しい新薬開発ではスピードが要求される。そういった顧客の様々なニーズに応える最適なサービスを提供する。

陳氏
同社は、医薬に特化して翻訳やメディカルライティングなどを手がけている。そうしたサービスの経験を生かし、自社開発したAI翻訳「SciLingual」をベースに、医学・医薬特化翻訳、翻訳編集、データ管理、チーム共有などの統合的な機能を持つAI翻訳プラットフォーム「AIKO SciLingual」を提供している。同プラットフォームは、生成AIを含む九つの翻訳エンジンから選択でき、治験関連文書から承認申請資料、論文、会議資料、プレスリリースなど幅広く使用できる。
顧客のニーズに合わせた提案をするというのが、同社のソリューションの肝であり、同社の基本スタンス。それが同社の今期(10月から)のテーマ「人×テクノロジー」に貫かれている。
その意図を開発部リーダーの平尾文美メアリー氏は、「人の健康と生命に関わる文書である以上、正確性は必須。他方、AI翻訳は読みにくいことや間違うこともある。そこでわれわれの専門性の高いテクノロジーで正確性を担保し、専門性と読みやすさやロジックを両立した翻訳に翻訳者などのリンギストが専念して、高い精度で完成させる」と説明する。
一例が、一昨年、アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)から「AAMT長尾賞」を中外製薬と受賞した「医薬品開発業務を迅速化するためのAI翻訳の協調的開発と運用」の成果だ。翻訳にかかる時間を人手翻訳と比べ約4割削減し、依頼企業のニーズを十分に汲み取りながら、質の高い翻訳を両社が協力して作り上げていく「協働モデル」として注目された。
この成果は中外製薬のニーズに応えた一例だ。
ソリューション事業部課長の陳婕氏は「納期、品質、コスト、このニーズの三角形の形は顧客によって異なる」と述べ、顧客のニーズに応じて、最適なサービスを提供していくのが基本方針であることを説明する。「私たちは社員四十数名規模の会社だが、その分お客様との距離も近い。1人の担当プロジェクトマネジャー(PM)がお客様の希望を丁寧に聞き、本質的かつ潜在的なニーズを見抜き、部門横断的に協業して最適なサービスを提案する。それが私たちの強み」
同社は、最新テクノロジーである生成AIの活用にも積極的だ。最近では、独自の大規模言語モデル(LLM)を活用し、治験プロトコルの翻訳を通常1カ月程度かかるところを7日で納品した成果も出している。これもリンギストとAI翻訳、LLMの融合により、スピードニーズを最優先に、高い品質を確保して納品したケースだ。
陳氏は、「これからも人とテクノロジーの融合によりお客様に求められている以上の成果を出すことに挑戦し続ける」と話す。平尾氏は「弊社と弊社のパートナーであるリンギストの方々と協働し、期待以上の成果の達成を目指すのが私たち」とメッセージを送る。
アスカコーポレーション(ASCA)
https://www.asca-co.com/


























