一般薬のインターネット販売訴訟の東京高裁判決で敗訴した厚生労働省が最高裁へ控訴したのを受け、原告の1社でネット販売サイトを運営するケンコーコムが「上告は大変意外で、到底納得のいくものではない」とのコメントを発表した。一方、対面販売原則の堅持を主張してきた日本薬剤師会は「現時点では、インターネット販売の規制を行うことは不可欠と考えており、当局の上訴の判断は当然」との見解を示している。
同訴訟をめぐっては、一審が第3類薬以外のネット販売を禁止する厚労省令を妥当とする判決を下したものの、二審では薬事法の委任範囲を逸脱するとしてネット販売権を原告に認めた。
ケンコーコムは、上告によって最終的な司法判断が先送りされることについて、「お客様に安全な医薬品をお届けできないことがさらに続くことは誠に遺憾」「消費者の権利が害され、損害が発生し続けることは看過しがたい問題だと認識している」と主張。国にネット販売の解禁に向けた対応を促した。
日薬は10日の会見で見解を公表すると共に、児玉孝会長が裁判の行方について「一審、二審の両方を見て考える必要がある」「一審は社会情勢を反映したもので、安全性を重視するという改正薬事法の趣旨は認められている。二審はあくまで法律の流れの中で、解釈や見方について争っているだけだ」と指摘した。