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なるか二つの流通改善の実現

2012年8月10日 (金)

 今、二つの流通改善が進められている。一つは言わずと知れた医療用医薬品の流通改善である。長きにわたって存在し続ける大きな課題であり、関係者の地道な努力によっても改善が図られてこなかった。言い方、見方を変えれば、努力の本気度が足りなかったということであり、医薬品卸をはじめとした流通当事者の誰もが認めることだろう。

 今年度は様相ががらりと変わって本気度全開である。本紙7月27日号の特集で掲載したように、日本医薬品卸業連合会の別所芳樹会長をはじめ、大手主要卸のトップたちも、これまでとは別格の決意と覚悟を表明して流通改善の第3ラウンドに取り組んでいる。考えてみれば、何と言っても医薬品卸が社会的役割を果たせる企業として存在できるかどうかの瀬戸際まで収益が圧迫されているのだから、本気度が違って当然だ。

 医薬品卸の社会的役割の重要性は、災害や新型インフルエンザなどで薄々知られていたが、図らずも未曾有の東日本大震災で一気に認知された。その役割・使命を果たすためにも一定の収益は必要であり、1%に満たない営業利益では継続的な投資は非常に困難だ。企業であるので利益を追うが、それを経営者や社員の常識を外れた高給に振り分けるわけではなく、いかなる時も安定して医薬品を供給できる体制を構築するために使う。いわば社会インフラ整備の一環でもある。

 以前の取り組みと異なっているのは意思だけではない。年度が変わる前に、日本保険薬局協会との協議によって新しいスキーム、本来の取引を具体像として見せたことは、流通改善を進めるトリガーの一つと位置づけられる。気持ちも方法も変わった流通改善であるので、医薬品流通の本当の姿をぜひ見せてほしい。

 もう一つの流通改善は、新型インフルエンザワクチンである。7月30日に「新型インフルエンザワクチンの流通改善に関する検討会」が報告書をまとめた。2009~10年に発生した在庫問題(最終的にメーカー、卸が239万回分のワクチンを買い取った)を是正するため、その原因を探り、不要な在庫を極力出さない方策を提言している。

 不要在庫を可能な限り発生させないために考えられる対応のポイントは、本紙8月1、3日で既報している通り、都道府県ごとの配分量の調整の改善、一元的な予約の受付、ワクチン供給先への配分調整の改善、卸売販売業者の役割分担の明確化、ワクチン供給先からの発注の適正化となっていて、それぞれで具体的な対応を記載している。

 その上で、集団的なワクチン接種体制等の整備、細胞培養法による生産体制整備が図られる効果が期待されると述べている。

 いずれの流通改善も実現なくしては絵に描いた餅となる。関係者の強い意思と行動力が求められている。




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