外国人客へ情報を提供
薬学生・薬剤師向け情報誌「MIL」のほか、各種出版・イベントを手がけるエニイクリエイティブ(東京新宿区)は、薬局・薬店、ドラッグストアへOTC医薬品を購入に訪れる外国人客に対して、適切な情報提供を実現する「OTC医薬品販売外国人コミュニケーションBOOK」を、今月から新発売した。カラー印刷された情報ツール(B5判40ページ)を、デジタルペンで読み取ると、的確に翻訳された症状や薬などの専門用語が、美しいネイティブ発音される。日本語を含めた14カ国の言語に対応しており、店頭でのスムーズな応対をサポートする。
開発(製作・製造元)したのは、印刷会社の旭紙工(大阪府松原市、橋野昌幸社長)。同社はこれまで、旗をタッチすることで各国の言語を翻訳する“読み上げ音再生システム”の「翻やくん」(商標登録、特許出願済み)を開発し、言語でのコミュニケーションに不自由がある人をサポートする「おしゃべりブック」、救急車に搭載する「外国人救急搬送シート(18カ国語に対応)」、歯科医院向けの「外国人コミュニケーションブック(10カ国語に対応)」などを生み出してきた。
今回の「OTC医薬品販売外国人コミュニケーションBOOK」も、この「翻やくん」の技術を利用したもので、全てペンタッチによる会話型操作を基本とする。表紙にある国旗をタッチすることで、14カ国語を翻訳する(日本語、英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、北京語、広東語、韓国語、タイ語、ベトナム語、タガログ語、インドネシア語、スペイン語、ポルトガル語)
来店した外国人客に、まず母国語(会話可能)の国旗を選択してもらうことで、その後の会話の言語が確定される仕組み(特許出願中)で、それぞれの国旗へのタッチが、翻訳言語切り替えスイッチとなっている。イラストを交えた各ページの文章のうち、グレーで印刷された部分(特殊なドットの集合体に文字情報を蓄積)をデジタルペンでタッチすると、決定された国の翻訳言語が流れる。
このツールを用いて、薬剤師(登録販売者)は、医薬品の相談(購入目的)であることを確認。購入者のプロフィール(実際に薬を使うのは誰か、使う人の年齢は何歳か、どのような症状か、お求めの薬は何か等)を確認し、絞り込みを行い、その後患者に適切と思われる医薬品を決定し、服用・使用方法の説明を行う。受診勧奨の項目も設け、最後にクロージングの項目(支払いや注意事項の説明)という手順。これら外国人顧客とのやりとりは、全て「YES」「NO」の部分を指さして回答してもらい、翻訳された言語が発せられるので該当語での応対は不要。
旭紙工の橋野社長は、外国語学校の経営にも携わっており、外国人との接点が多い中で、日本での生活で困ることとしては病気になった時の不安が最も多いそうで、そうした背景から前記の「翻やくん」開発に至ったという。最近ではスマホで翻訳アプリが利用できるが、「旅行とか買物など日常生活では十分に意味が通じるが、非日常シーンはまだ難しい。例えば、救急車で隊員が最も口にするのが『頑張ってください』だが、翻訳アプリでは『グッドラック』となってしまう。日本語はシーンによって使われる意味が異なり、薬を含めた専門用語では特に難しい」とする。
同コミュニケーションBOOKは、日本社会薬学会常任幹事で元慶應義塾大学薬学部教授の福島紀子氏、北海道薬科大学准教授の岸本桂子氏らが監修しており、使用上の注意や配合成分、推奨品・養生法などの情報、さらには受診勧奨や予防についても対応する。共同開発したメディカルマネジメントサービス(大阪市中央区)の村田直俊社長は「実際にドラッグストアで、販売スタッフや教育担当責任者にヒアリングをし、情報伝達が必要な最低限の基本的な項目は網羅している」という。
セット内容は、BOOK本体と使用ガイド、デジタルペン(2GBマイクロSDカード内蔵)、単4乾電池2本、店外用の告知ポスター(A2サイズ、耐水性)等で7万円となっており、11月20日まで10%引きの特別キャンペーン価格(6万3000円、税別・送料別)で提供中。詳細・申し込みはエニイのWebサイト(http://emil-jp.com/otc-book/)