米食品医薬品局(FDA)は7月2日、消費者および医療従事者に対し、メタノールを含むハンドサニタイザー(手指消毒剤)製品に関する警告を発出し、これらの製品を使用しないよう改めて呼び掛けた。FDAは6月にも、メタノール含有ハンドサニタイザーに関して注意喚起していた。
メチルアルコール、または木精とも呼ばれるメタノールは、燃料の原料となるほか不凍液としても使用されているが、皮膚から吸収されると有害であり、摂取すると致死的にもなり得る。そのため、ハンドサニタイザーの成分としての使用は認められていない。
しかし、FDAによると、エタノール含有の表示であるにもかかわらず、検査でメタノール陽性となるハンドサニタイザー製品が急増しているという。また、州当局も最近、メタノールが混入したハンドサニタイザーを摂取した成人および小児に、失明、入院、死亡などの有害事象が生じたことを報告している。
メタノール曝露は、吐き気、嘔吐、頭痛、かすみ目、失明、発作、昏睡、神経系への永続的なダメージなど引き起こし、致死的にもなり得る。消毒剤として手に使用した場合は、誰にでもメタノール中毒が生じる可能性はあるが、特に危険なのは、幼い小児が誤飲した場合や、青少年や成人がアルコールの代替品として飲用した場合であるという。FDAは、メタノール含有ハンドサニタイザーへの曝露歴があり、症状が現れている場合は、すぐに治療を受けるべきであるとしている。
メタノール含有のハンドサニタイザーを使用している場合は、ただちに使用を中止し、可能であれば有害廃棄物として廃棄するか、地域の廃棄物管理およびリサイクルセンターの推奨に従って廃棄するよう、FDAは勧めている。また、これらの製品の中身を排水口に流したり、ほかの液体と混ぜたりしてはならないとしている。
FDAが消費者に使用を避けるよう呼び掛けているのは、メキシコのEskbiochem社が製造したハンドサニタイザーであり、6月の注意喚起以降、2社の流通業者が自主的に同社のいくつかの製品をリコールしているという。なお、FDAが検査の上でリコール対象とした製品のリストは、当局のウェブサイトに掲載されている。
FDAコミッショナーのStephen Hahn氏は、「石鹸と水がすぐに利用できない場合は、アルコールをベースにしたハンドサニタイザーを使うなどして、手の清潔を保つべきだ。残念ながら、新型コロナウイルス感染症の流行に伴うハンドサニタイザーの需要増加を利用し、危険で容認できない成分を含む製品を販売することで、人々の命を危険にさらしている企業が存在する。消費者および医療従事者は、メタノール含有のハンドサニタイザーを使用しないよう、気を付けてほしい」と呼び掛けている。(HealthDay News 2020年7月6日)
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https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-takes-action-warn-protect-consumers-dangerous-alcohol-based-hand
https://www.fda.gov/drugs/drug-safety-and-availability/fda-updates-hand-sanitizers-methanol