米FDAがマントル細胞リンパ腫の治療にTecartusを承認

2020年08月17日 (月)

この記事は2020年08月17日に配信された記事です。
配信日から2年以上経過している為、最新情報ではない可能性があります。

FDA

 米食品医薬品局(FDA)は7月24日、マントル細胞リンパ腫(MCL)に対する細胞ベースの遺伝子治療としてbrexucabtagene autoleucel(商品名Tecartus)を迅速承認した。対象は、他の治療法が奏功しなかったMCL成人患者、または再発した成人患者である。

 Tecartusは、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法であり、MCLの治療としてFDAにより承認された細胞ベースの遺伝子療法としては初めてのものである。FDA生物学的製剤評価研究センター長のPeter Marks氏は、「難治性の衰弱性疾患に対する新たな治療法の発見は、飛躍的に進歩している。今回の承認は、遺伝子治療という有望な医療分野における科学的進歩を活用して、患者自身の免疫系を用いてがん治療を進めるという、患者ごとにカスタマイズされた治療の新たな一例となるものである」と述べている。

 MCLは、リンパ球の一種であるB細胞から発生する非ホジキンリンパ腫であり、中高年層に多い。MCLの患者では、B細胞ががん細胞となってリンパ節に腫瘍を形成し始め、体の他の部位に急速に広がる。Tecartusは、患者の免疫系を利用してカスタマイズする治療である。具体的には、患者から採取したT細胞に、遺伝子導入技術でCARと呼ばれる人工的に作られた受容体を導入することで、リンパ腫細胞を標的にして攻撃するように仕向けるのである。改変されたT細胞は、患者の血液に戻される。

 Tecartusの安全性と有効性は、難治性または再発MCLの成人患者60人を対象に実施された多施設共同臨床試験で確認された。患者は、治療に対する最初の反応が見られて以降、6カ月以上にわたり追跡された。Tecartusによる治療後の完全寛解率は62%で、奏効率は87%であった。

 ラベル上の枠組み警告には、サイトカイン放出症候群(CRS)と神経毒性のリスクについて記されている。副作用として報告数が多いものは、重度の感染症、血球数の減少、免疫系の低下である。副作用は通常、治療後1〜2週間以内に生じるが、もっと後に生じることもある。CRSおよび神経毒性のリスクがあるため、Tecartusの承認には、安全な使用を確保する構成要素(Elements to En- sure Safe Use;ETASU)を含むリスク評価とリスク軽減戦略(Risk Evaluation and Mitigation Strategy;REMS)の提出が課されている。Tecartusに対するリスク軽減策は、別のCAR-T細胞療法であるYescartaのものと同じである。また、Tecartusの長期的な安全性の評価のために、FDAは、同薬で治療された患者に関する製造販売後の観察研究を実施するよう製造販売元に求めている。

 なお、Tecartusの承認は、Gilead Sciences社のグループ企業であるKite Pharma社に与えられた。(HealthDay News 2020年7月27日)

Source
https://www.physiciansbriefing.com/hematology-oncology-12/lymphoma-cancer-news-101/tecartus-approved-for-treatment-of-mantle-cell-lymphoma-759869.html

More Information
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-first-cell-based-gene-therapy-adult-patients-relapsed-or-refractory-mcl


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