英弘精機は、錠剤の異物混入・濃度の識別を可能にする高機能分光システム「Opsis HSI-1700」を新発売した。物質固有の波形であるスペクトル情報を識別することにより、錠剤の異常を検知する分析装置。製薬企業向けに錠剤の製造・品質管理、原料受け入れ検査に提供する。従来の分光分析に比べ最大100倍の速度で高精度に検知でき、短時間で大量のサンプルを一括処理できるため、錠剤の製造管理での問題解決に役立つ。
同社は1927年に創業し、独の光学機器メーカーの国内販売代理店として事業を開始し、輸入商社として物性・分析機器事業を展開してきた。これまで製薬業界に対しては、ドリンク剤の粘度を定量化する「粘度計」や錠剤の硬度や物性評価を行う装置「テクスチャーアナライザー」を提供している。
今回、新発売した「Opsis HSI-1700」は、スペクトル解析ソフトウェアを強みとする独ルックスフルックスから導入し、分光スペクトルと画像解析が融合した新たな分析システムとなっている。
現在、製薬企業が製造ラインで導入しているCCDカメラは、撮影された画像の錠剤表面の色や形で異物混入の有無を判断する検査システムになっている一方、目に見えない物質が混入していた場合にカメラが認識できず、取りこぼしが発生してしまうという課題があった。
同製品は、錠剤の外観のみならず、物体固有の波長であるスペクトル情報を解析することで、見た目ではなくスペクトルの違いで形状異常や異物混入を識別し、異物の検出精度を向上。物質の吸光特性の違いからモノを識別し、有効成分量だけではなく、有効成分の分布までも明らかにし、物質の濃度を測定できる。
さらに、AIソフトウェアの搭載により解析アルゴリズムを組み合わせることでユーザーの目的に合った様々な分析も可能にした。
同製品は既存の生産ラインに組み込むことができるように設計されているため、工場の製造ラインで導入しやすいのも特徴。テクニカルセンター長の新井武彦氏は、「これまでわれわれが提供してきた製品は、研究開発の段階で使用されてきたが、今回の新製品の発売により製薬企業と交流を持てるようになった。今後は、新製品を通して製薬企業の課題を把握し、現場が抱える新しい課題に対応できるソリューションを提供したい」と語った。