日立ハイテクは23日、「透過電子顕微鏡商用機HU-2型)」が、日本顕微鏡学会から第2回「顕微鏡遺産」に認定されましたと発表した。
「顕微鏡遺産」は、顕微鏡学の発展に大きく貢献したエポックメーキングな技術や製品を文化遺産として後世に伝えることを目的に、2024年に導入された認定制度。
「HU-2型」は、日立製作所が開発・製造し、1942年に商用機として初めて名古屋帝国大学(現:東海国立大学機構名古屋大学)に納入した、日立電子顕微鏡の草創とも言える装置。
「HU-2型」の開発当時は、電子顕微鏡の黎明期かつ第二次世界大戦の戦時下で、輸入が困難になりつつあり、日本独力で産学官一体となって急速な電子顕微鏡の開発が行われていた。「HU-2型」の前身として、横型に配置された「HU-1型」と呼ばれる透過電子顕微鏡が試作され、実証研究の結果を経て、縦型の「HU-2型」が開発された。
「HU-2型」は、加速電圧50kV、磁界型のコンデンサレンズ、対物レンズ、投射レンズで構成されており、拡大された試料透過像は観察室で観察し、写真乾板に記録する構造を持ちます。これは、現在市販されている電子顕微鏡に通じる基本的な構造で、最高分解能は5nmだった。「HU-2型」が名古屋帝国大で活用されたことをきっかけに、電子顕微鏡を用いた生物や材料の研究・開発などが進み、日本の先端科学技術や産業技術の発展に大きく貢献した。
「HU-2型」は、国立科学博物館「重要科学技術史資料」(09年)、電気学会「でんきの礎(いしずえ)」(09年)に登録され、日本分析機器工業会からは「分析機器・科学機器遺産」(14年)として認定を受けており、先駆的な功績が広く認められている。なお、実機は名古屋大博物館に資料として常設展示されており、誰でも見学できる。
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