富士フイルムは3日、胸部CT画像から、異常所見が疑われる領域を性状ごとに分類し、それぞれの大きさを算出することで、間質性肺疾患の診断を支援する「間質性肺疾患解析ソフトウェア」発売する。同社は、同ソフトウェアを3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT(シナプス ヴィンセント)」で間質性肺疾患が疑われる領域の解析結果を参照できるアプリケーションとして、富士フイルムメディカルを通じ提供する。
同社は、京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学と共同で、間質性肺疾患の性状を分類し大きさを算出する技術を2019年に開発し、実用化に向けて有効性の検証を行ってきた。
今回発売される同ソフトウェアは、間質性肺疾患の診断を支援するもの。胸部CT画像から肺の解剖学的構造(肺野、血管、気管支)を識別したうえで、画像特徴パターンに基づいて性状(正常、すりガラス影、網状影、コンソリデーション、蜂巣肺、透過性亢進肺*12)を自動で分類し、同時にそれぞれの大きさや割合を自動的に算出する。
また、異常所見の分布を詳細に確認できるよう、肺野を肺葉ごとに分割し、各領域における異常所見の大きさや割合を表示する。さらに、同一患者の過去の検査画像と現在の検査画像を並べて、性状別や領域別のデータを切り替えながらグラフ表示することで、進行状態を確認できる機能も備えている。これらの機能により、間質性肺疾患の種類を特定するうえで重要な性状の識別や、疾患の進行状況の直感的な把握をサポートする。
また、近年、特発性肺線維症など進行性線維化を伴う間質性肺疾患に対して、線維化のスピードを抑える抗線維化薬が使用されている。病変の大きさが抗線維化薬を投与する判断の基準となっている疾患もあることから、同ソフトウェアの計測結果が投薬判断のサポートになることも期待される。
なお、同ソフトウェアは、AI技術を活用して開発した、間質性肺疾患に関連する異常所見が疑われる領域をCT画像から自動で性状分類し、それぞれの大きさを算出する医療機器として日本で初めて承認された。