島津製作所は19日、微粒子の選別・採取システム「CELL PICKER for microparticle」を発売した。金属有機構造体(MOF)やマイクロプラスチックなどの研究で行われる「微粒子の選別から採取」を自動化したシステムで、対象となる微粒子のサイズは数十~数百μmとなっている。シャーレ上の微粒子を自動スキャンし、選別、採取して、バイアルに吐出する作業を実施する。
微粒子は、ガス吸着や分離技術、触媒などへの応用が期待されるMOF、環境への影響が懸念されているマイクロプラスチック、化合物分析に用いられる結晶スポンジなど、大きさや形状が様々となっている。微粒子の選別と採取が困難で、顕微鏡を覗き込みながらの手作業が一般的だった。
同製品は、吸引や吐出のスピードなど微粒子の種類に合わせて最適化できる。作業者がソフトウェア上の顕鏡鏡で微粒子を覗きながらボタンを押すだけで、高度な手技が必要だった工程を自動化している。約50個の微粒子の識別・回収が数時間から1時間に短縮できる。
また、独自開発の画像判定アルゴリズムが、従来は目視だった微粒子の色相や形状の識別を自動化している。手作業だった吸引から回収までの工程も省力化することで、ワークフローを標準化・効率化している。改修した微粒子の識別結果はスコアで表示でき、作業者の目視確認と経験に依存していた識別基準を定量化している。
さらに、微粒子に照射する偏光源やそのフィルタは自動で制御され、色味の情報も含めた微粒子の画像データが自動で保存される。従来の採取方法では、都度撮影・記録する必要があったが、動作条件と画像名称が紐づいて保存されることで、作業者の負担なくトレーサビリティを向上させている。また、専用ソフトウェアにより、「微粒子の探索、識別、画像保存」と「ピッキング作業」を簡単に操作できる。
同社は2018年から、細胞コロニーのピッキングを自動化した「CELL PICKER」を販売しており、その技術の応用で「CELL PICKER for microparticle」を開発した。今後も、環境問題の解決やヘルスケア、ライフサイエンスの研究開発に取り組んでいく。