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米食品医薬品局(FDA)は、12月11~12日、性感染症である淋病の治療薬として、2種類の新しい経口薬を承認した。
淋病は淋菌(Neisseria gonorrhoeae)によって引き起こされる。合併症のない尿生殖器淋菌感染症(淋病)とは、尿道または子宮頸部に限局した感染であり、他の部位へ広がっていない状態を指す。排尿時の痛み、性器からの分泌物、腫れを引き起こすことがある。未治療で放置すると、より広範囲な生殖器への感染や不妊症につながる可能性がある。
1つ目は、Innoviva社の子会社であるEntasis Therapeutics社の水溶性の経口顆粒剤Nuzolvence(一般名zoliflodacin)で、体重35kg以上の12歳以上の患者が対象。合併症のない尿生殖器淋菌感染症の治療に使用される。
この承認は、合併症のない尿生殖器淋菌感染症患者930人を対象とした試験に基づいている。患者の3分の2はNuzolvence(3g)を水に溶かして単回投与され、残る3分の1は、標準治療薬であるセフトリアキソンナトリウム注射とアジスロマイシン錠が併用投与された。
その結果、治療後4~8日間の菌消失率を測定したところ、Nuzolvence投与群は91%、標準治療薬群は96%であり、Nuzolvenceの有効性は標準治療と同等であることが示された。最も多く見られた副作用は、白血球数減少、頭痛、めまい、吐き気、下痢だった。ただし、動物実験ではNuzolvenceが先天異常、流産、または男性不妊を引き起こす可能性があることが示されており、添付文書には重要な安全上の注意が記載されている。
2つ目の承認は、GSK社の経口剤であるBlujepa(一般名ゲポチダシン)で、対象は体重45kg以上の12歳以上の合併症のない尿生殖器淋菌感染症患者だ。同薬は臨床的安全性データが限られているため、他の治療選択肢がほとんど、あるいは全くない患者に対して使用されることになっている。なお、Blujepaは2025年3月に尿路感染症の治療薬として初めて承認された。
Blujepaの安全性と有効性は、合併症のない尿生殖器淋菌感染症患者628人を対象に評価された。半数の患者は1回3,000mgのBlujepaを10~12時間間隔で2回投与され、残りの半数は標準治療を受けた。
治療後4〜10日の間に菌消失率を測定した結果、Blujepa投与群は93%、標準治療群は91%であった。これによりBlujepaの有効性は標準治療と同等であることが示された。最も一般的な副作用は、下痢、吐き気、胃痛、嘔吐、ガス、めまい、軟便、頭痛、倦怠感、過度の発汗など。Blujepaには、QTc延長、アセチルコリンエステラーゼ阻害、アレルギー反応などに関する警告と注意事項が伴う。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)抗感染症部門のPeter Kim氏は、「淋菌の薬剤耐性が世界的に増加していることを考えると、追加治療法の選択肢が得られることは極めて重要だ」とリリースで述べた。(HealthDay News 2025年12月15日)
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https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-two-oral-therapies-treat-gonorrhea






















