
Agentパクリタキセルコーティッド バルーンカテーテル
ボストン・サイエンティフィックジャパン(ボストンSJ)は1日、冠動脈疾患における経皮的冠動脈形成術(PCI)治療の一つである薬剤コーティングバルーン「AGENT」について、医療現場のニーズに対応するため、バルーン長40mmの新サイズの販売を開始した。なお、今年2月19日に対照血管径3.0mm以上の新規冠動脈病変への適応拡大承認を取得している。今回のサイズ追加と合わせて、より幅広い病変に対応し、病変特性に応じた低侵襲なPCI治療の選択肢を提供できるようになった。
同製品は、疎水性と親水性のバランスの取れたボストン・サイエンティフィック独自のTransPax(トランスパックス)テクノロジーによって、血管内デリバリー中にバルーン表面にコーティングされた薬剤(パクリタキセル)の流出を低減させるように設計されている。これにより、病変部に適量の薬剤を送達させ血管壁に浸透させることで、再狭窄を抑制する効果が期待されている。
2023年2月の国内販売開始以降、バルーン長15mm、20mm、30mmの3種類を提供してきたが、病変が長く複雑化する傾向を背景に、より長いサイズへのニーズが高まっている。今回、新たに40mmサイズを追加したことで、長病変への対応が可能となり、治療選択の幅がさらに広がることが期待される。
今回の適応拡大の承認取得では、新たな取り組みとして注目されているリアルワールドデータの活用が実践された。日本国内で東邦大学医学部循環器疾患低侵襲治療学講座(寄付講座)の中村正人教授を中心に実施された前向きレジストリ「ALLIANCE Registry」の結果を踏まえて申請された。
同レジストリは、1800例を超える患者を対象としたオールカマーのデノボレジストリとして実施された。同試験において、パクリタキセル薬剤コーティングバルーン(AGENTを含む)は、多様かつ複雑なデノボ病変に対して評価され、事前に設定された主要評価項目(TLF:標的病変不全)において、1年時点で良好な成績が示された。
1年時点のTLFは4.7%で、事前に設定されたパフォーマンス基準を満たした。これは主に、標的病変再血行再建(TLR)および心筋梗塞(MI)の発生率が低く抑えられたことによるもの。また、同試験には糖尿病患者や石灰化病変など、臨床的に難易度の高い症例が多く含まれており、こうした背景を有する患者集団でも、安定した治療成績が示された。
国内実臨床下で蓄積されたリアルワールドデータ活用による承認取得はわが国初で、産官学連携の特筆すべき事例としても注目されている。同レジストリに関する追加情報は、試験責任医師より別途発表される予定となっている。
今回の承認に関し、日本心血管インターベンション治療学会理事長で帝京大学病院内科・循環器内科科長内科主任教授の上妻謙氏は、「冠動脈治療の現場では、高齢化や基礎疾患を有する患者の増加に伴い、病変が長く、かつ複雑化する傾向がみられている。今回のAGENTの適応拡大と新サイズの追加は、実臨床のニーズに即した治療選択の幅を広げるものと考えている」と述べている。


















