6年制薬学教育が導入されてから20年の節目を迎えた。これまでの20年を振り返ると、臨床能力を身に付けた薬剤師の輩出という薬剤師養成制度としては一定の成功を収めたと言える。しかし、一部大学の国家試験予備校化や退学者・留年者の増加など、6年制教育の歪みも顕在化してきた。
その象徴が薬学部の相次ぐ募集停止である。17日に城西国際大学が2027年度から薬学部医療薬学科の学生募集を停止すると発表した。薬学部の学生募集停止は姫路獨協大、医療創生大に続き3校目となり、薬学部淘汰の時代が加速している印象だ。
今後は、定員割れで経営が苦しい薬学部、薬科大学の募集停止が相次ぎ、私立大学は伝統校や人気大学に集約されるだろう。
さらに問題は創薬研究力の低下である。6年制導入時は研究者養成を4年制に委ね、医療人としての薬剤師養成の6年制との棲み分けを図ったが、一部を除きほぼ薬剤師養成に費やされた20年であり、研究者養成のウエイトは縮小傾向にあった。
研究力の低下は深刻な状況にある。一部国公立では6年制への一本化が図られ、「研究ができる薬剤師」「臨床が分かる研究者」の養成というコンセプトが打ち出されたが、全国的に見ても成功事例は少ない。
既に、製薬企業の研究職では薬学出身者の存在感が低下している。企業の本音は「研究に没頭してきた学生が欲しい」とされ、理学部や工学部の学生の採用に流れている。最近では私立の伝統校が研究回帰の兆しを見せているが、現状では研究の部分が中途半端な状態になってしまっている感が否めない。
薬学部・薬科大学の志願者は減少傾向にある。今の高校生は6年間高額な学費を払った分のリターンを冷静に計算しており、薬剤師がそれに見合う職種なのかしっかりと見定めている。
一方で、単なる計数調剤だけではない、患者に向き合う臨床能力を高めた6年制を卒業した薬剤師が活躍できる場を用意できていたかという医療側の課題もある。6年間学んだ成果を生かし、それに見合った収入が得られるイメージが描けない可能性も考えられる。
それだけに、20年の節目を契機に6年制・4年制教育の役割を再定義する議論を始める時期に来ていると考える。このままでは志願者減少、学力低下、研究力低下、職能縮小という負のスパイラルから薬学の地盤沈下につながりかねない。
何よりも高校生が魅力を感じる6年制と4年制の姿を示し、薬学部で学べる楽しさを明確に整理し直す必要があるのではないか。
何のために薬学を学ぶのか、薬剤師は何をする職業なのか。この根源的な問いに真正面から向き合うことが、未来の薬学を担う中学生、高校生の支持につながるはずだ。






















