テルモはこのほど、子会社であるTerumo Neuroを通じて、脳血管の液体塞栓技術を開発する米国のArsenal Medical社(アーセナル・メディカル社)を買収することで合意した。今回の買収によって、アーセナル・メディカル社が開発中の液体塞栓材「NeoCast」を取得し、脳血管治療領域における技術ポートフォリオを拡充すると共に、近年注目されている慢性硬膜下血腫(cSDH)の血管内治療への事業展開を加速させていく。
アーセナル・メディカル社は、先進的な生体材料(バイオマテリアル)技術を開発する医療機器企業。同社の主力開発品であるNeoCastは、cSDHの治療を目的として開発が進められている液体塞栓材で、同疾患の治療法の一つである「中硬膜動脈(Middle Meningeal Artery:MMA)塞栓術」への使用を目的として設計されている。
近年、cSDHに対する新たな血管内治療のアプローチとして、MMAへの期待が高まっている。この治療法は、硬膜に血液を供給している中硬膜動脈とその先の末梢血管を塞栓することによって、血腫の維持・再発の原因となる異常血管への血流を遮断し、血腫の縮小、術後再発の抑制、患者の機能回復の向上などを目指すもの。
アーセナル・メディカル社が開発を進めるNeoCastは、中硬膜動脈の末梢血管への到達性の向上を目指して開発されており、一般的な液体塞栓材とは異なる流動特性を有している。また、使用時に溶媒が不要なことから、患者への負担軽減につながる可能性がある。
NeoCastは現在開発段階にあり、いずれの国・地域でも薬事承認を取得していない。cSDHを対象とした初期臨床試験「EMBO-02」では、NeoCastを用いた塞栓手技の実施可能性および安全性に関する主要評価項目を達成している。現在は、外科手術と併用した場合の有効性および安全性を評価する、大規模な検証的(ピボタル)臨床試験「RADIANT」が進行中となっている。
Terumo Neuroは脳動脈瘤、脳梗塞、脳動静脈奇形などの脳血管治療領域において幅広い製品群を展開している。今回の買収によって、液体塞栓材領域における技術基盤をさらに強化すると共に、cSDHの血管内治療という新たな成長分野への事業展開を加速させていく。
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