
バイオメディカ事業部長の加藤隆一氏
三洋電機は、細胞治療分野の取り組みを強化し、2015年にバイオメディカ事業部の売上高500億円を目指す方針を打ち出した。これまで研究施設に導入してきた自動細胞培養装置等のハード面に加え、ソフト面を強化し、細胞治療分野のトータルソリューションを展開。さらに調剤機器の海外販売を拡大し、現在40%の海外売上高比率を55%に引き上げることで、09年度比約2・4倍の売上増を達成したい考えだ。
同社のバイオメディカ事業部は、00年にセルプロセッシングセンター(CPC)を東京大学に納入して以来、細胞治療分野の取り組みを強化してきたが、今後さらに市場拡大が見込まれると判断。研究支援機器事業、調剤機器事業に続き、細胞治療事業を第3の柱と位置づけ、バイオメディカ事業部の売上拡大を目指す計画を打ち出した。
これまでCPC100施設、セルプロセッシングアイソレータ50台の納入実績があり、4月には京都大学iPS細胞研究所にCPCを一括納入した。都内で記者会見したバイオメディカ事業部長の加藤隆一氏は、こうした実績を背景に、「細胞治療分野ではハードとソフトのトータルソリューションが重要になってくる」と述べ、今後ソフト面の強化を図る考えを示した。
特にCPC納入施設が急増している免疫療法に着目し、昨年10月から東京大学医科学研究所発のバイオベンチャー企業「テラ」と自動細胞培養装置の共同開発を進めてきた。テラは、樹状細胞ワクチン療法で2400件以上の症例実績があり、加藤氏は「われわれの装置開発技術とテラの高度な培養技術を融合し、協業を深めながらソフト面を強化していきたい」と語った。今後、GMP運用管理コンサルティング事業、消耗品器材の商品開発等を進め、細胞治療分野のトータル支援事業を拡大する予定だ。
さらに、調剤機器事業では、北米で市場拡大を狙うと共に、新規市場の中国・欧州市場を開拓。海外生産体制も、9月に北米に生産拠点を立ち上げて体制を強化する。こうした取り組みの結果、グローバル展開を加速させ、15年には海外売上高比率を55%に拡大。売上高500億円への貢献を目指す。