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地域フォーミュラリ推す骨太方針

2025年06月20日 (金)

 13日に「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太方針)が閣議決定され、人口減少や物価上昇に直面する中、賃上げの実現や持続可能な経済社会の構築などを目指すための基本方針が明記された。社会保障分野でも「医療・介護・障害福祉等の公定価格分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要がある」と宣言した。

 一方で、持続可能な社会保障制度を実現するための歳出改革にも強い決意が示された。自民、公明、日本維新の会による3党協議で合意されたOTC類似薬の保険給付のあり方の見直し、地域フォーミュラリの全国展開だ。原案にはなかった「25年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて26年度から実行する」との文言が追加された。

 地域フォーミュラリの推進には大きな前進となるだろう。本文中に2カ所にわたって記載され、創薬力強化とイノベーション推進の欄には「医薬品の適正使用や後発医薬品の使用促進のみならず、医療費適正化の観点から地域フォーミュラリを普及する」と明記された。地域フォーミュラリの全国展開に向けては、欄外でも「普及推進策を検討し、各地域において地域フォーミュラリが策定されるよう取組を推進する」と記されるなど、近年の骨太方針にはない書きぶりであるのが特徴だ。

 地域フォーミュラリに対する診療報酬上の評価も現実味が帯びてくるだろう。これまでの中央社会保険医療協議会の議論では、医師委員が抵抗して報酬での評価を阻止してきた。ただ、3党協議での議論、骨太方針に盛り込まれたことで潮目は間違いなく変わる。今後本格化する26年度改定の議論の俎上に載ってくる可能性が高い。

 地域フォーミュラリは全国各地域で広がりつつあり、地域で使用を推奨する医薬品リストはプロトンポンプ阻害剤(PPI)、スタチンなどから領域が徐々に拡大している。多剤処方や残薬、不適切な処方の是正が可能で、地域内での医療費削減効果も見込めるとの期待もある。

 課題は地域フォーミュラリに対する理解促進に尽きる。薬剤師会は在庫管理に対する負担軽減などで歓迎するが、医療機関の医師側には「処方権が制限されるのではないか」との警戒感が依然として根強い。医薬品関連企業が主導したリスト作成や一部地域で運用されている銘柄指定による地域フォーミュラリにも懸念の声が聞かれる。

 合意に向けては地域ごとに適したプロセスが必要になるが、基幹病院の院内フォーミュラリを基盤に地域に展開していく手法が有効策ではないか。そのカギを握るのは基幹病院の薬剤部だ。地域フォーミュラリの協議に病院薬剤部が主体的な役割を果たしてほしい。

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