アイリスは13日、正確性と計算効率を両立した新しいAI基盤モデルである、「Fast-Math」を公開したと発表した。
これは、Googleが運営する世界最大のAIコンペプラットフォームKaggleで、「AI Mathematical Olympiad – Progress Prize 2(Kaggle AI数学オリンピック)」の大会に日本からチーム参戦し、金メダルを獲得した同社エンジニアが、オープンソースのAlibabaのQwenらをもとに構築したオリジナルの基盤モデル。
Fast-Mathは、長考モデルの草分け的存在であるDeepSeek-R1に着想を得て開発されたモデルファミリー。教師あり学習と強化学習を組み合わせた学習レシピを、数学オリンピック国内大会レベルの高難易度問題に適用することで、ベースモデルの精度を維持しつつ、最大約65%の推論高速化を実現している。中でも、Fast-Math-Qwen3-14Bは、AIME・MATH500といった主要ベンチマークにおいて、トークン(言語処理の最小単位)あたりの精度で同規模LLM中トップクラスの性能を達成している。
この基盤モデルを構築するに当たり工夫されたのは、AIの正確性を維持しつつも従来モデルと比較して非常に小さな計算量でAIが推論を行うという、その効率性。
近年、AIの開発や推論においては計算資源(GPU等の総称)や電力消費が大きな問題となっている。米大手テック企業の例では、単独1社で原発数十基分の電力をAI開発のために使用する試算がなされるなど、「計算効率」の重要性はもとより、サステナビリティやインフラ維持の観点からも人類が取り組むべき、また解決すべき大きな課題となっている。
また、AIが国家の経済安全保障の面からも、「ソブリンAI(外国企業管理下にない、国産のAI基盤モデル1)」の重要性が説かれている。同社はAI製品だけでなく、機械学習技術そのものの研究開発を実施しており、今後の展開が注目される。
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