
バイエル薬品は、高リン血症治療薬「ホスレノールチュアブル錠」(一般名:炭酸ランタン水和物)を11日から新発売した。食品に含まれるリンが消化管から吸収されるのを抑え、透析中の慢性腎不全患者に併発する高リン血症を治療する。水分摂取が制限されている透析患者に配慮し、水なしで服用できる剤形が採用された。売上高は、発売10年後のピーク時に約105億円を見込んでいる。
腎臓の働きが低下した腎不全患者では、食品中のリンが十分に排泄されず、体内に蓄積される。透析で除去可能だが、透析で十分にリンを排泄できずに高リン血症状態が続くと腎性骨症を引き起こし、高カルシウム血症と合併すれば心不全を発症しやすくなってしまう。
同剤は、腸管内でリンと結合してリン酸ランタンを生成。そのまま体外へ排泄されることで、リンの吸収を抑えて血清リン濃度を低下させ、高リン血症を治療する。
現在の高リン血症の第一選択薬はカルシウム製剤だが、カルシウムの血中濃度が高い患者では、十分な効果が得られる用量まで増量できないことがある。同剤はカルシウムを含んでおらず、このような患者でも対応できる。
国内の臨床試験では、カルシウム製剤と同等の血清リン低下効果が認められた。高カルシウム血症の発現率は、カルシウム製剤より有意に低いという。
英シャイアによって見出された同剤は、欧米など世界32カ国でシャイアから発売されている。日本ではバイエル薬品が2003年に製造販売権を取得し、開発を進めてきた。日本の透析患者数は現在約27万人以上で、毎年1万人のペースで増えている。